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 ◇「スメル男」 原田宗典 (講談社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 僕の身体に、何かとんでもない変化が起きている。

 東京全都を嘔吐させるような異臭が僕の身体から漂い始めた。

 原因はわからない。

 気弱な僕を信じてくれる人はたった一人。

 コンピュータを自在に操れる天才少年達も仲間だ。

 八方塞の迷路の中で、今、僕のとてつもない青春の冒険が拳を振り上げる。

+-+- 感想 -+-+

 読後感は「うわー、こんなドモる主人公にはなりたくないけど、こういう考え方と幸せな人生は欲しいぞー」と感じる。原田宗典さんの講演会に一度行った事があるからかもしれないけど、この主人公と原田さんがダブって見えた。

 僕はある面において、「青春」とは自分の子供的な部分と大人的な部分が微妙に入り混じった状態を表す言葉だと思っている。だから青春小説の登場人物は子供っぽすぎるのもダメだし、大人っぽすぎるのもダメ。そういう面で天才少年達はその天才ゆえに変なところで大人っぽくて、そして主人公やマリノさんはどこか子供っぽいところが抜けていない。だから、彼らの姿は「青春」を強く感じさせてくれるのだろう。

 僕も過ぎていった「青春」を久しぶりに取り戻したような、そんな思いにさせられ、また主人公の姿に笑わせられながらも、強いシンパシーを感じた。瑞々しい感覚が自分の体内にみなぎっていくような、そんな気持ちにもさせられる。

 

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