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 ◇「1809 −ナポレオン暗殺−」 佐藤亜紀 (文春文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 1809年、フランス占領下のウィーン。

 仏軍工兵隊のパスキ大尉はオーストリア宮廷の異端児ウストリツキ公爵と出会い、ナポレオン暗殺の陰謀に巻き込まれていく。秘密警察の追及、身を焦がす恋――。

 激動期のヨーロッパをさらなる混沌に陥れようと夢見た男たちの、華麗で危険なゲームを精緻に描きあげた歴史活劇。

+-+- 感想 -+-+

 ヨーロッパを席巻したナポレオン・ボナパルト。

 天才的な戦術眼・戦略眼で、ヨーロッパの閉塞した状態を一気に打破した男。

 その稀代の天才を巡って、危険なゲームが開始された。

 

 どこか陰を持った主人公のパスキ大尉。

 鋭い洞察力と奇抜な行動で相手を驚愕させるウストリツキ公爵。

 その公爵に付き従うように存在する絶世の美女クリスティアーネ。

 

 この三人を中心に話は進んでいく。

 佐藤亜紀の驚くべき筆力がここで発揮している。

 つまり、この混沌とした状況を非常にうまく描き、その上、その混沌とした状況にこの個性豊かな登場人物たちを生き生きと描いているのだ。

 

 時代考証も正確だし、複雑な状況にも呑まれずに描く佐藤亜紀という作家の凄さを感じた。そして、登場人物たちもその佐藤亜紀の魔術により生き生きと活躍する。

 その華麗で魅惑的な世界観で一気に読み終えてしまう事だろう。

 

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