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 ◇「歪曲王-ブギーポップ・オーバードライブ-」 上遠野浩平 (電撃文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 “僕は歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、僕はずっと君の側にいるだろう――”

 二月十四日の聖バレンタイン・デイ。都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築<ムーンテンプル>の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。人々に甘く囁きかける歪曲王は、全てが捻じ曲がったその世界こそ天国に至る階段だと言う。

 そして、そこにはもう一つの奇妙な影がまぎれていた。

 “やはり来たな、ブギーポップ……!”

 人の心に棲む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が幕を明ける。

+-+- 感想 -+-+

 今回の世界の危機はちょっと毛色が違うような感じがしていた。

 最初からブギーポップの露出も高いし…。

 まぁ、ブギーポップファンとしては嬉しいかぎりだけど。

 

 今回は誰もが持つ心の闇やコンプレックスなどに焦点が当てられている。

 いつもの事ながら、ブギーポップの言葉はひやりとするものもありながら、基本的にはすごく温かいもののように感じる。今回は特に彼のユーモアさや本音が聞けちゃってなかなか興味深いし、面白かった。

 

 人は多くのことに傷ついたり、後悔したり、心残りをしていたりしている。

 うまく処理できればいいけれど、うまく割り切れないのが心というもの。

 その心の闇の中をブギーポップは疾走し、何を思ったのかはわからない。

 でも、ただ、確かなのはあのブギーポップに笑みを浮かべさせるだけのものを見つけた者もいるという事だろう。

 

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