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 ◇「グリーン・レクイエム」 新井素子 (講談社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 明日香は腰まで届く長い髪の娘。

 その髪に驚くべき秘密と力を秘めた彼女の正体は?

 彼女に惚れてしまった信彦。

 25歳の男が口説き方もわからないなんて、うー。

 逃れられぬ運命が明日香を見舞う、さあ、守ってやれるか、彼女を。

 ショパンのノクターンが全編を包む「グリーン・レクイエム」他三編。

+-+- 感想 -+-+

 さすがに上手い。

 素直に感心させられる。

 短編が三編収録されているが、そのどれもが魅力的で軽快な文章で描かれている。

 

 特に女性の心理描写が上手く、しかも可愛い。

 明るく、でも傷つきやすく、一生懸命な女の子が三編ともに登場する。

 その中でもやはり一番、面白かったのは表題作の「グリーン・レクイエム」

 星雲賞日本短編部門受賞作で、プロットはしっかりしているし、話の流れもとても魅力的で、一気に読ませてくれる。

 男の子と女の子が手に手を取り合って、進む姿は微笑ましい。

 あとは「宇宙魚顛末記」もなかなかコミカルで、そして女の子の悩み悩みがヴィヴィッドで面白かった。

 でも、この作品の面白さはやはり人情味溢れる悪魔かもしれない。

 

 とにもかくにも、三作品ともみんな温かく、微笑ましい人間が非常に軽快に描かれていたと思う。

 

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