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東野圭吾ほど多彩な推理小説を書く人はいないだろう。
作家には多かれ少なかれ傾向というものが存在し、それが作家の特徴になっていると僕は思うのだけど、この東野圭吾という作家はその色が非常にわかりにくいのだ。
ただ、言えるのは、どれもが軽快なタッチで描かれているために読みやすく、しかも面白い！！という事だろう。
今回はピエロが部分的に語り部になりながら、読者を事件に導いていくというものだった。事件自体、非常にミステリアスなものだった。
人形の目の前で繰り返される殺人。
その現場をピエロが語り、そして読者を翻弄した。
通常のナレーションの部分とピエロの語り部の部分が絶妙なバランスの上で成り立って、読者を翻弄した。最後の最後のドンデン返しは僕の感じた違和感の答えだったのだけど、まさかの真実で、僕は度肝を抜かれた。
宮部みゆきの『長い長い殺人』もそうだけど、何かモノを擬人化して、ミステリを進行させるのは非常に新鮮で、面白い試みであるかもしれない。人ではないからこそ、接する事の出来る事件の現場の状況などを自然に描けるからだ。
こういう読みやすくしかも読者を翻弄できる小説を様々な形で書ける東野圭吾という作家にはほとほと感心させられた。
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