財布の語り口はそれぞれ特徴があり、しかもその語り方は一種の独特な響きがあり、すごく面白かった。持ち主を財布は表現し、そして何もかもを見ている。事件の関係者達の財布たちがナレーターと言うかなり特殊なプロットにもかかわらず、僕はその面白さにすっかりハマりこんでしまった。財布から語られる持ち主の個性。もちろん、財布同士の個性というヤツもしっかり描かれている。
事件をうまく取り囲んだ財布たち。
宮部みゆきの発想力に驚かされる一作だ。
個人的には「龍は眠る」が宮部みゆきNo.1小説だけど、この小説もかなり高いレベルの作品だと思う。
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