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 ◇「長い長い殺人」 宮部みゆき (光文社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 金は天下のまわりモノ。財布の中で現金は綺麗な金も汚い金も、みな同じ顔をして収まっている。しかし財布の気持ちになれば、話は別だ。

 刑事の財布、強請屋の財布、死者の財布から、犯人の財布まで、10個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表をついた重大事件をあぶりだす。

+-+- 感想 -+-+

 財布の語り口はそれぞれ特徴があり、しかもその語り方は一種の独特な響きがあり、すごく面白かった。持ち主を財布は表現し、そして何もかもを見ている。事件の関係者達の財布たちがナレーターと言うかなり特殊なプロットにもかかわらず、僕はその面白さにすっかりハマりこんでしまった。財布から語られる持ち主の個性。もちろん、財布同士の個性というヤツもしっかり描かれている。

 

 事件をうまく取り囲んだ財布たち。

 宮部みゆきの発想力に驚かされる一作だ。

 

 個人的には「龍は眠る」が宮部みゆきNo.1小説だけど、この小説もかなり高いレベルの作品だと思う。

 

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