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 ◇「マリオネットの譚詩」 菊地秀行 (朝日ソノラマ文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 東京都立流高校。その学区では、猛獣の仕業としか思えない悲惨な殺人事件が続発していた。

 夜の校舎。画壇期待の逸材とたたえられる二年生、故里やよいは、顔のない肖像画を前に、ひとり、制作を続けていた。やがて迫りくる黒い影。だがそれは、謎の転校生との出会いの夜でもあった。

 血に飢えた獣たちを操るのは誰か。

 ついに最終戦争が始まった。

+-+- 感想 -+-+

 これは菊地秀行の代表作ではないのだけど、菊地秀行らしい作品だと思う。

 美貌のヒーロー、ヒロイン。

 野獣の影。

 人間たちの欲望が渦巻く世界観。

 朝日ソノラマで出版されているため、未成年に配慮された内容で、過激さから言えば、魔界都市<新宿>シリーズなどよりもソフトなのは仕方がないだろう。

 同じソノラマで発売されている『エイリアン』シリーズ程度の過激さだと思ってもいい。

 ただ珍しいのはヒロインの女性が他の菊池作品よりも強い存在なような気がする。

 ヒーローとパートナーという関係に感じられるのだ。

 

 女子高生であるヒロインの視点で描かれている事が多いので、恋愛という要素もかなり入っている。これはかなり菊地作品にしては珍しいことだと思う。しかし、この作品は菊地作品のエッセンスをソフトに散りばめられており、これが菊池作品に興味を持っている人が最初に読んで、自分に合うかどうか判断するには最適な本だと思う。

 

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