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 ◇「御手洗潔の挨拶」 島田荘司 (講談社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 嵐の夜、マンションの十一階から姿を消した男が、十三分後、走る電車に飛び込んで死ぬ。しかし全力疾走してもたどり着けない距離で、その首には絞殺の痕もついていた。男は殺されるために謎の移動をしたのか?

 四編の短編集。

+-+- 感想 -+-+

 変人ぶりばかりが注目される御手洗潔だけど、今回は事件の多さやその性質から彼の変人以外の一面がクローズアップされている。

 「数字錠」では彼の誠意ある態度と、慈悲深さが浮き彫りになるし、「ギリシャの犬」では彼の犬好きが非常にうまく描かれている。また「疾走する死者」では彼の音楽的センスをまざまざと見せ付けてくれる。もしかして、彼は何でもできてしまうのではないか?

 

 個人的に好きだったものは「数字錠」だ。

 珍しく御手洗が熱くなり、そして彼がなぜ紅茶しか飲まなくなってしまったのかというのがわかるからだ。

 御手洗ほど頭がいいと、辛い事も、見なくていいものも見てしまうのだなとちょっと哀しく感じた。

 

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