私生活はほとんどヴェールに覆われている村上春樹のエッセイ。
このエッセイから彼の私生活のほんの一端が垣間見れる。
小説とはもちろん違うけれど、コミカルで、とことんつまらないことをシリアスに、そして純朴に、時には恍けながら、エッセイは綴られている。
個人的にお気に入りだったのは「裸で家事をする主婦は正しいのか?」とか「マニュアルの裏側にあるもの」とか「長寿猫の秘密」などが良かった。
特に村上春樹の飼い猫であった怪(飼いでも可)猫ミューズと村上春樹の強い絆はかなり強いインパクトを与えてくれたし、「マニュアルの裏側にあるもの」では障害者に対する日本人の意識の低さを痛感させられる事が書かれていて、はっとさせられた。
彼のエッセイには独特の世界観があると思う。
そう小説と同じように。
小説とはまったく違うものだとわかっているけど、不思議な透明感とかは全然共通しているような気がする。
忙しい日常に追われ、ひーひーと余裕のない日常を送っている時に、このエッセイを読むと、ほっと一息つける。そんなちょっと「癒し系」のエッセイだ。
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