『不夜城』に続き、ハードボイルド系を読む。どちらも奇しくも新宿を舞台にしているのはやはり興味深い。
硬派な主人公と美女。ハードボイルドの定番だけど、それが強く読者を引き付けるのだから、不思議だ。
男らしさというものが減退している現在、もしかすると、男性も女性もある種の男らしさをこうした物語で求めているのかもしれない。
しかし、いくらハードボイルドとは言え、『新宿鮫』の主人公である鮫島は、北方謙三が書くような強さと確信に溢れたキャラクターではなく、恐怖もすれば、悲鳴もあげる主人公だ。でも、彼がハードボイルドである理由は、その彼の生き方が魅力的だからだろう。警察官という職業に誇りを持ち、信念を曲げず、ぶつかっていく。そんな姿がハードボイルドと呼ばれる所以なのかもしれない。
繰り返される犯行が緊迫感を生み、鮫島自身の持つ危うさと混ざり合い、物語は綱渡りの連続で、息をつく暇さえ与えてくれなかったようなイメージがある。最後の最後ですべてが集約されるさまは見事の一言に尽きた。
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