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 ◇「冥王と獣のダンス」 上遠野浩平 (電撃文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 僕はバード・リスキィ。僕が生きているのは、奇跡軍と枢機軍が果ての無い戦争をいつまでも続けている世界。

 

 特殊能力者奇跡使いである僕と妹のアノーはこの愚かな時代を変えるべくある計画を実行したが、それは僕らの予測を超え、戦場で敵同士として出会った若者と少女の数奇な運命を導くことになる。少女の名は夢幻。彼女は十七歳の戦略兵器。そして若者は報われぬ一兵士に過ぎなかったが、実は彼、トモル・アドこそ僕らの戦争世界の運命を握っていたのだった。

 ――これは戦い殺し合い、出会ってすれ違う人々と夢を無くした機械達の叙事詩。

 悪夢と未来をめぐるこの凄絶な舞踏会から、僕らは逃れることができるのか……?

+-+- 感想 -+-+

 まず、これはシリーズ化してほしい!!という事だった。

 それほどに魅力的なキャラクター、構成、世界観があったように思える。

 特にキャラクターの魅力は特筆すべきものだろう。

 

 主人公の少年―トモル。虚無を抱える少女―夢幻。ヒーロー、ヒロインが魅力的なのは当然で、脇を固める登場人物たちもとても魅力的だ。バードとアノーの二人もトモルや夢幻に負けず劣らず魅力的に描かれているし、副官のミルトもそうだ。

 

 拮抗した状態で繰り返される戦争。そんな絶望的な世界で、少年少女たちは出会う。

 お互いが刺激をしあい、影響しあい、恋をし、憎み、戸惑い、混ざり合っていく。

 上遠野浩平らしい若者のヴィヴィッドな心の動きをうまく描いたなぁと思う。

 

 彼らはこの先、どうなっていくのか?

 物語は終わったのだけど、作り上げるのはこれからだと思うから、彼らが行く世界を見てみたい気がする。

 

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