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 ◇「雪の降る音」 村山由佳 (集英社文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 親父が再婚するぅ?

 突然のビッグニュースに福岡に単身赴任している父を訪ねた勝利。父と息子、男同士で過ごす夜、5歳年上のいとこ・かれんへの想いをはじめて打ち明ける。まだまだ秘密にしなければならない恋だけど、少しだけ、前進。

 なのに美術教師かれんには彼女に想いをよせる同僚がいるし、大学生になった勝利は陸上部マネージャーから告白されて。おおやけにできない恋ゆえの悩みが続く。

+-+- 感想 -+-+

 じりじりした恋がなぜか?

 この巻でその理由が明らかにされる。

 確かにその通りで、それに気づいたかれんや勝利は新しい段階へ進もうとしていた。

 つまり、若干、小説の質が変わったのである。

 恋愛小説なのは確かなんだけど、恋愛にも色々と段階があって、次のステップに到達した二人。 これに戸惑う読者もいるだろうけど、僕はそれほど戸惑う事は無かった。

 

 恋人と長く付き合った事がなければ、わからないかな?

 恋人がいるからこそ、注意しなくちゃいけないこと、そして頼るべきこと。

 その適度な恋人との距離感がなかなか難しいんだ。わかってはいるんだけど。

 

 かれんが、勝利が、お互いとても大切にしているからこそ、その適度な距離感の苦心は大きいものだと思う。

 まだまだ二人の理想の恋人、理想の関係、理想の自分、探しは続きそう。

 

 優しすぎる二人を見て、ちょっと微笑ましいと思いながら、そーいえば、自分もホントに好きな相手には怖いくらい優しすぎて、怖いくらい臆病だったよなぁと思った。そんな恋を彼らは思い出させてくれた。

 

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