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 ◇「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」 村上春樹 (新潮文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。

 そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?

 『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?

 蒸溜所を訪ね、パブを梯子する。

 飲む、また飲む。

 二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、確かな誇りと喜びを持って生きる人々――。

 芳醇かつ静謐なエッセイ。

+-+- 感想 -+-+

 酒好き、しかもウィスキー好きにはたまらないエッセイだと思う。

 しかも旅行好きならなおさらだ。

 僕は酒好きだし、旅行好きで、村上春樹のこのウィスキーを訪ねるエッセイにすっかり酔いしれてしまっていた。まるで、村上春樹の言葉がウィスキーになってしまったかのように。

 

 村上春樹と奥さんの陽子さんが二人で旅をして、それを綴ったエッセイなのだけど、ウィスキーに焦点が当てられているところがなんとも村上春樹らしい。

 飲み方から、作り方、そしてアイラ島の人々のウィスキー観まで、すべてがすべてウィスキーに収束し、描かれている。

 ウィスキーが本当に好きなんだなぁと感じられるエッセイだ。

 

 僕もこれを読んだ後、しばらくはウィスキーを好んで飲んだ。

 下腹部に染みるいい味だ。

 アイラ島のシングルモルトはもっとうまいのだろうな。

 そんな気持ちになる芳醇なエッセイだと思う。

 

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