酒好き、しかもウィスキー好きにはたまらないエッセイだと思う。
しかも旅行好きならなおさらだ。
僕は酒好きだし、旅行好きで、村上春樹のこのウィスキーを訪ねるエッセイにすっかり酔いしれてしまっていた。まるで、村上春樹の言葉がウィスキーになってしまったかのように。
村上春樹と奥さんの陽子さんが二人で旅をして、それを綴ったエッセイなのだけど、ウィスキーに焦点が当てられているところがなんとも村上春樹らしい。
飲み方から、作り方、そしてアイラ島の人々のウィスキー観まで、すべてがすべてウィスキーに収束し、描かれている。
ウィスキーが本当に好きなんだなぁと感じられるエッセイだ。
僕もこれを読んだ後、しばらくはウィスキーを好んで飲んだ。
下腹部に染みるいい味だ。
アイラ島のシングルモルトはもっとうまいのだろうな。
そんな気持ちになる芳醇なエッセイだと思う。
|