△booklist top

 

 ◇「キノの旅」 時雨沢恵一 (電撃文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 「キノはどうして旅を続けているの?」

 「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか?なぜだかよくわからないけど、そう感じるときがあるんだ。……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なもののように感じるんだ。とても、愛しく思えるんだ……。ボクは、それらをもっと知りたくて、そのために旅をしているような気がする」

 ――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。

+-+- 感想 -+-+

 独特の世界観があると思う。

 この世界観は他の作品にはないだろう。

 和み系でもないし、だからといって、アバンギャルドな作品でもない。

 ただある種の現実を作品という形で特化させたものと言えるのかもしれない。

 

 「キノの旅」というタイトルの通り、主人公のキノが世界各地の国を訪れ、そこで見聞したり、行動したりするのが話の内容となっている。

 色々な国の常識、しきたり、そして人の生き様をキノは旅人として何を認め、何を思うのか。それを読者に投げかけているように思える。

 

 ファンタジー世界なんだけど、現実の思いが非常にヴィヴィッドに投影される作品だと思う。たぶん、「ブギーポップ」などの世界観が好きなら好きになるだろう。

 そんな淡々とした、それでいてちょっと怖く、ほのぼのした小説だと思う。

 

△Topに戻る△