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 ◇「竹光始末」 藤沢周平 (新潮文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 世の中変わっても、変わらないのは男の心――。一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向かう浪人の心意気「竹光始末」。

 口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄「恐妻の剣」。

 他に「石を抱く」「冬の終りに」等、小説巧者藤沢周平が、夜の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説全六編。

+-+- 感想 -+-+

 藤沢周平は初挑戦である。

 時代小説なので、ちょっと硬いのかなと思っていたけど、予想以上に読みやすく、すらすらと読み終えてしまった。

 たぶん、それは文体だけではなく、そのテンポの良さも一つの大きな要因だろう。

 そして、そのテンポのよさが彼の短編小説をキリリと引き締めているように思える。

 

 江戸時代とは言っても、男がいて、女がいるのは変わらない。

 変わらない部分の悩みは昔も今も同じで、きっと男の人ならうんうんと頷いてしまうことが多いだろう。女の人はその姿を見て、どう感じるかはわからないが。

 

 ただ、暗い作品が多いように思えた。

 真っ暗ではないのだけど、陰鬱と表現してもおかしくない程度に作品のトーンは暗かった。それが彼の作風なのかどうかはわからないけれど、カラッと晴れた作品はなかった。

 それが日常の生活と言うようなものなのかもしれない。

 ふと、読み返してみると、彼の作品には日常というものが散りばめられていて、そんな風に僕は思えた。

 

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