藤沢周平は初挑戦である。
時代小説なので、ちょっと硬いのかなと思っていたけど、予想以上に読みやすく、すらすらと読み終えてしまった。
たぶん、それは文体だけではなく、そのテンポの良さも一つの大きな要因だろう。
そして、そのテンポのよさが彼の短編小説をキリリと引き締めているように思える。
江戸時代とは言っても、男がいて、女がいるのは変わらない。
変わらない部分の悩みは昔も今も同じで、きっと男の人ならうんうんと頷いてしまうことが多いだろう。女の人はその姿を見て、どう感じるかはわからないが。
ただ、暗い作品が多いように思えた。
真っ暗ではないのだけど、陰鬱と表現してもおかしくない程度に作品のトーンは暗かった。それが彼の作風なのかどうかはわからないけれど、カラッと晴れた作品はなかった。
それが日常の生活と言うようなものなのかもしれない。
ふと、読み返してみると、彼の作品には日常というものが散りばめられていて、そんな風に僕は思えた。
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