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 ◇「月の裏側」 恩田陸 (幻冬舎文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。

 消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議な事に、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。

 まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?

 事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは<人間もどき>の存在に気づく……。

+-+- 感想 -+-+

 ゾワゾワ。

 そんな表現をしてしまうくらいに、結構、怖い物語だった。

 「光の帝国」のようなイメージで読むと裏切られたと感じるので、これを読む際には、綺麗さっぱり忘れる事をお勧めする。

 

 物語は九州の片田舎。

 堀に囲まれたそんな田舎が、徐々に世界の深淵へと登場人物たちを誘う過程はさすがにぞっとするものがあった。また、物語が進行するにつれて、人の心の闇も顕わになってくるので、一層怖い感じがする。

 

 僕たちにもし行き着く先というものがあるとするのなら、ここに描かれているモノはそういった一つのケーススタディになるような気がする。

 人の心が行き着く先の現実はやはり脆く、そして強いものなんだなぁと素直に感心させられた。

 

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