乙一の作品は今まで短編しか読んでなかったけど、初めて長編小説を読んだ。
しかも、非常にホラー色の強い作品である。
もっとも、本格的なホラーというわけでもなく、やはり乙一らしいカラーを感じた。
彼の作品は人の心の闇や弱さを非常に的確に描いたものが多いと思う。
今までの短編はホラーというより少年少女の心と不可解な力というものがうまく混ざり合ったものだった。どちらかと言えば、ファンタジーと言ってもいいかもしれない。
しかし、今回はホラーと言ってもいいと思う。
僕たちはどんなに強い人間でも心の闇の部分を持っていると思う。
その心の闇を強く押さえつけていた優しいマサオに影のように付きまとうアオ。
彼らはどうなるのかさすがにハラハラとさせられた。
ただ最後は非常に乙一らしい気分にさせてくれる作品だった。
この人は終わらせ方がとてもうまいなぁと感じさせてくれた。
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