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 ◇「死にぞこないの青」 乙一 (幻冬舎文庫)

+-+- あらすじ -+-+

 飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。

 

 クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。

+-+- 感想 -+-+

 乙一の作品は今まで短編しか読んでなかったけど、初めて長編小説を読んだ。

 しかも、非常にホラー色の強い作品である。

 もっとも、本格的なホラーというわけでもなく、やはり乙一らしいカラーを感じた。

 

 彼の作品は人の心の闇や弱さを非常に的確に描いたものが多いと思う。

 今までの短編はホラーというより少年少女の心と不可解な力というものがうまく混ざり合ったものだった。どちらかと言えば、ファンタジーと言ってもいいかもしれない。

 しかし、今回はホラーと言ってもいいと思う。

 

 僕たちはどんなに強い人間でも心の闇の部分を持っていると思う。

 その心の闇を強く押さえつけていた優しいマサオに影のように付きまとうアオ。

 彼らはどうなるのかさすがにハラハラとさせられた。

 

 ただ最後は非常に乙一らしい気分にさせてくれる作品だった。

 この人は終わらせ方がとてもうまいなぁと感じさせてくれた。

 

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