少年の孤独な心理と、その年代特有の微妙な心理が交錯する。
それがまず胸を打つ。
また、犯罪に向かう心理、犯罪を終えた心理。
それを貴志祐介はとても絶妙に描いたと思う。
特に犯罪を犯す意味というものを考えさせてくれた。
現実をとことん描いているように思える。
もちろん、犯罪部分では現実的じゃないところもあるが、それは仕方の無いところだろう。
そのリアリティさがあったからこそ、櫛森少年の姿が胸を打つ。
またこの作品は青春小説の一面も強く有している。
それが犯罪というエッセンスと混ざり合って、名作になっているように思える。
青春時代の純粋な心と殺人という犯罪で最も凶悪なもの。
その相反する要素をこの本は見事に昇華させ、僕を感動させてくれた事に感謝したい。
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