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 ◇「五分後の世界」 村上龍 (幻冬舎文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 オレはジョギングしていたんだ、と小田桐は意識を失う前の事を思った。

 だが、今は硝煙の漂うぬかるんだ道を行進していた……。

 五分のずれで現れたもう一つの日本は、人口二十六万人に激減し地下に建国されていた。駐留する連合国軍相手にゲリラ戦を続ける日本国軍兵士たち――。

 戦闘国家の壮絶な聖戦を描き、著者自ら最高傑作と語る衝撃の長編小説。

+-+- 感想 -+-+

 村上龍の作品の中ではかなりエンターテイメント性の強い作品だと思う。

 だが、その先鋭性は「コインロッカー・ベイビーズ」などにも負けない過激で、今の日本に欠けているものだったと思う。

 

 僕たちはこの時代を生きている。

 当然の事だけど、すべてが健全というわけではないけど、それなりの生活ができ、大体の人間が幸せに生きている。

 でも、僕たちは何かを失ってしまっているのではないだろうか?

 

 通り魔など、日本が大きくグラついている。

 生き方を求めないで、マニュアルばかりの幸せを追い求めた結果なのだろうか?

 日本が好きですか?

 Noという著名人がいる日本はやはりどこか致命的に歪んでいるように思える。

 それをあの「五分後の世界」は示しているように思える。

 

 著者が言う通り、彼の作品の中でもその物語の力強さは上位に位置するだろう。

 ただし、最高傑作がこれなのか、それとも他の作品のなのかという議論は無意味だと思う。それは読者がどれを選ぶかでしかないと思うからだ。

 

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