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 ◇「巷説百物語」 京極夏彦 (中央公論新社)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 戯作者志望で、怪異譚を聞き集めるのを無類の楽しみに諸国を巡る山岡百介。

 雨宿りに立ち寄った小屋で唐突に始まった百物語の会が、闇に生きる者たちとの出会いとなった。山猫に魅入られた花嫁、隠居を訪ねる狸侍、夜ごと辻に現れる女の腐乱死体……御行の又市、山猫廻しのおぎんらの語る怪異が像を結び、裁かれぬ悪を嵌める仕掛けが回りだす!

 御行奉為――

+-+- 感想 -+-+

 夏の暑さを凌ぐために読み始めた百物語だけど、やはり京極堂シリーズと同じく怪異系ミステリだった。まぁ、とは言え、時代は江戸時代でずっと時代物に近く、その上、怪異の比重も高いように思える。

 

 やはり登場人物たちが魅力的だ。

 主役級の「御行の又市」は言うまでもなく、京極堂シリーズではあまり目立たない女性陣だが、このシリーズでは「山猫廻しのおぎん」が大活躍でしかも魅力的だ。

 依頼された仕事を彼らなりで解決するのだが、非常にそのプロセスが面白い。

 まずは環境を整え、隙の無い運びで、ターゲットを仕掛けの中央へと招きいれる。

 最後の「御行奉為」という一文なんてくぅ〜と唸ってしまうくらいだ。

 

 また業という部分も非常にうまく描かれているように思える。

 怪異と人の業は切り離せないものなのかもしれない。

 とにかく京極堂シリーズが好きな人なら気に入るだろう。

 憑き物落としに似た雰囲気がこの本には充満しているからだ。

 

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