三毛猫ホームズシリーズの中でも僕のお気に入りの一冊。
片山さんの女性恐怖症が十二分に発揮される巻でもあるし、何気に桜井マリとの絡みがとても面白く、しかも最後ではなかなか片山さんは男を見せてくれるからだ。
事件はその桜井マリを中心に展開される。
毎度のこと、先の読めない展開。
一貫しない事件の数々が読者を翻弄するだろう。
それをホームズが片山さんを使って、解決していくのがやはり気持ちがいい。
コンクールに向けての練習で一人、理想と現実の狭間で苦悩するマリ。
その姿はやはり胸を打つものがあった。
そういう意味で競争社会の厳しさと辛さを赤川次郎は本当にうまく描いたと思う。
|