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 ◇「陰陽師 生成り姫」 夢枕獏 (文春文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 十二年前、月の明るい晩。

 堀川の橋のたもとに立ち、笛を吹く源博雅と一人の姫。

 すべては二人の出会いから始まった――。

 淡い恋に思い悩む友を静かに見守る安部晴明。

 相撲節会があり、それを契機に博雅と姫は再会する。

 不可解な言葉と交錯する想い。

 陰陽師シリーズ初の長編。

+-+- 感想 -+-+

 長編になって、若干読みにくくなったかな?というのが僕の最初の印象だった。

 陰陽師シリーズ独特のテンポのよい読みやすさが消えたと感じたからだ。

 しかし、無駄だなぁと感じた部分が時を経るほどにひとつの物語として収斂して行く様は見事だと感じた。

 

 今回はなんと博雅が恋をしちゃっているのである。

 彼の真っ直ぐな想いは読んでいて、痛いほどだった。

 それを晴明は黙しながらも、やさしく耳を貸すのである。

 また晴明の永遠の葦屋道満は意外な反応を示すので面白い。

 

 さて、短編では時代背景などは描かれていなかったが、長編になり、その辺の時代背景や和歌などが十分すぎるほどに描かれている。

 晴明たちがこの時代どのような存在で、またこの時代がどのようであったのかを知るのにもいい機会になるだろうと思う。

 

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