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 ◇「ジャガーになった男」 佐藤賢一 (集英社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて、支倉常長遣欧使節に加わった。着いたイスパニアは既に全盛期の栄光を失っていたが、一人のイダルゴ(戦士)と意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする。

 壮大なスケール、波乱万丈の歴史ロマン。

 第六回小説すばる新人賞受賞作に大幅加筆。

+-+- 感想 -+-+

 男の拙さ、不器用さ、そして常に夢を追い続ける姿。

 なんというかそのすべてが読んでいると愛しく感じられてくる。

 少なくても男性である僕はやはりこの主人公の生き方に強く惹きつけられてしまうのだ。

 これは多くの日本人が新撰組の生き方に惹きつけられるのに似ているかもしれない。

 やや古式ゆかしい形の男女像に感じられるかもしれないが、男のロマンにはこういう古式ゆかしい形の話がいいような気がする。

 

 男のロマンを追い続けた男が歩む道は多くの棘が待ちうけ、その行き着いた先は思いもかけない場所であり、存在であった。

 夢と現実。

 そのハザマで不器用にも苦悩しながら進むトラは醜くも、美しい存在だと思った。

 

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