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 ◇「恋火 天国の本屋」 松久淳+田中渉 (小学館文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 ある日突然、ピアニスト健太は謎のアロハシャツ男ヤマキに声をかけられ、天国の本屋に短期バイトとして連れてこられた。そこで彼は、ある女性ピアニストに出会う。

 一方、飴屋の娘香夏子は商店街復興のため、花火大会開催に向け奔走していた。そこで彼女は「その花火を見ればふたりの恋は成就する」という伝説の花火師に出会う。

 天国と現世。ふたつのストーリーが同時進行するなか、花火大会当日、ついにある“奇跡”が訪れる―。

 

 竹内結子主演映画話題のベストセラー原作、待望の文庫化。奇跡のラブストーリーを彩るカラーイラストも多数掲載。

+-+- 感想 -+-+

 あっさりした物語だけれど、暖かな気持ちになる味わいがある。

 そんな貴重な雰囲気を持った物語だった。

 

 現世と天国。

 物語は二つの場面を平行して進められる。

 伝説の「恋する花火」と未完の「曲」。

 二つのものを求めて、二人の若者が孤軍奮闘する。

 

 誰もが持つ心の傷や葛藤を最後の場面で、うまく昇華していく様は見事で、必要以上に描写しないからこそ、静かで暖かな余韻を読者に与えるのだろう。

 現代のファンタジーとしても十分な夢があると思う。

 

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