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 ◇「奇跡の人」 真保裕一 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとり止め、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。

 

 しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家に一人帰った克巳は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」のミステリ。

+-+- 感想 -+-+

 …またもや、やってしまった。

 これが僕の読後の思いである。

 前、読んだ「ホワイトアウト」も長かったけど、寝食を忘れ、一日で読破し、今回も同じ事をやってしまった。

 

 この作家の文章力はすごい。

 ぐいぐいと読者を引っ張る。「ホワイトアウト」もこの「奇跡の人」も同じだった。あれあれという間に100ページ、300ページとあっという間に560ページを読破してしまった。ホントに「あっという間」という感じ。

 正直な話、主人公に感情移入はできなかった。それほどまでに彼は一途でピュアで僕にとってかなり「痛い」存在だった。そして強引で、ワガママで…。

 しかしそれでも目が離せない。そう読まずにいられない。

 

 彼は自分を「都合の良い自分」ではなく「ありのままの自分」を探し求めていた。そして彼は少年のようにそれだけに邁進していた。読後、それにハッと気づいて、温かい気持ちになった。

 

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