東野圭吾の「秘密」にネタが類似しているのは否めない。
だが、だからと言って、この作品の価値が落ちる事は無いだろう。
ミステリとして読むと、がっかりしてしまうかもしれないが、ファンタジーとして読めば、この作品はとてもよくできていると断言できる。
人は社会で生きる限り、様々に傷ついていく。
癒せる人もいれば、癒せない人もいる。
人はそうして少なからず傷を抱えて、歩みを進めているはずなのだ。
奇蹟が起こるのは、この本の舞台のように「いい人」がたくさんいる場所でだと思う。
そして、僕たち読者もこの本を通じて、感動する事によって、なんだか癒されていくような気がするのだ。
緻密な描写で、脳裏に情景を描き出しやすく、それがストーリーだけじゃなく、この作家の優れた美点の一つと言えるかもしれない。
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