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 ◇「天高く、雲は流れ(15)」 冴木忍 (富士見ファンタジア文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 ロスメスタ新女王の決起と、宰相ミスバの死により、反乱分子による政権簒奪の謀略は未遂に帰す。

 しかし、都イアルを襲う災厄は、もはや止まることはなかった。溢れ出づる亡者の群れ、さらには大河コアンの氾濫により、街は水没の危機に瀕するのだった。

 避難民の流れとは逆方向に、フェイロンは一人進む。めざす王宮には、ライフォンが待っているのだ。長い旅路の決着は、ふたりきりでつけなければならない。

 交差する想いと宿命。

 結末は滅びか、それとも―?

 明らかにされる過去の妄執が、全ての人々の肺腑を衝く。

 冴木忍の大河ファンタジー。感動の最終巻。

+-+- 感想 -+-+

 読み終わったあと、何となく気の抜けた気分になった。

 決して悪い意味ではなく、長かった旅がストンと納得できる形で終わったための安堵からくるものだろう。

 不幸な生い立ちではない初の主人公であったため、そのシワ寄せをパジャが被った形だが、まぁ、それが物語の良いスパイスになったのも事実だ。

 <卵王子>と並ぶ代表作になるだろうという完成度の高さだと思う。

 

 さすがに15巻も続いたので、様々な人々が出てきたが、その彼らが物語に埋没しなかったのも作者の卓越した物語の構成力によるところが大きいと思う。

 誰もが優しいのに、なぜだかほんの少しだけ悲しい。

 でも、人っていいよねと人の存在を信じさせてくれるような物語だと思う。

 

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