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 ◇「麦の海に沈む果実」 恩田陸 (講談社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。

 二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。

 閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。

 生徒を集め交霊会を開く校長。

 図書館から消えたいわくつきの本。

 

 理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?

 この世の「不思議」でいっぱいの物語。

+-+- 感想 -+-+

 たくさんの謎が散りばめられた学園の物語だと思う。

 ハリポタが輝くような魔法の学園であるのに比べこちらはどちらかと言えばモノトーン調のちょっとだけ寂しく、でもどこか神秘的な学園のように思える。

 

 彼女の作品はなかなかその終わり方に物議をかもし出すが、僕個人の見解ではその終わり方は物語の余韻を残すし、謎の一つぐらい残しておいた方がこの学園にはぴったりじゃないかと思うのだ。

 

 とにかく生徒たちも何となくミステリアスで、読者を惹きつけては決して話してくれない。主人公自身が最もミステリアスであったが、それ以外にもルームメイトの憂理や黎二、そして校長。他の作家では決して描けないほど彼らは魅力的であり、そしてミステリアスなのだ。

 

 人の深淵にはまり込みそうなそんな錯覚を覚える作品でもある。

 

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