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 ◇「TETORA」 深沢美潮 (電撃文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 完璧なバーチャル世界を実現したオンラインゲーム「TETORA」。

 中学一年の甲坂準のログインネームはラルク・ドネイト。

 屈強なファイターである。ラルクは「人」を買い、「家」を買い、ゲーム世界での「家族」を持った…。

 

 現実と仮想現実の狭間で揺れる少年を描いた表題作『TETORA』をはじめ、「電撃hp」創刊号に掲載され人気を博した『わたしとロボットとの関係』、そして、自分に似た男と出会ったことにより、知ってはならない真実を知ってしまった少年の物語『ファントムファーザー』の計三篇を収録。

 深沢美潮、初の近未来SF短編集。

+-+- 感想 -+-+

 深沢美潮の初のSFって事で、不安半分、期待半分で読み始めた。

 だけど、すごく満足できる出来だったので、やはりこの作家は力量あるなと惚れ直した次第である。

 

 表題作の「TETORA」は短編ながら、様々なものを詰め込んであり、それがちゃんと描ききれていたし、「わたしとロボットの関係」は深沢美潮ワールドらしいほんわかした温かみに溢れていた。「ファントムファーザー」は謎に到達するまでの『謎』の怖さ、そして結論部分の切ないけど、やさしい結末が良かった。

 

 その中でやはり最もいいと思えるのは「わたしとロボットの関係」だろう。

 「わたし」の一人称で話が進むので、筆者の面目躍如である。

 女の子の微妙な気持ち、その生き生きとした会話が楽しめる。

 

 SF嫌いの人でもこの作品はきっと気に入れると思う。

 

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