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 ◇「青のフェルマータ」 村山由佳 (集英社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとの触れ合いを求めて、オーストラリアの島にやってきた。

 研究所のイルカの世話を手伝って暮らす彼女に島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いた時、海の彼方から野生のイルカが現れて――。

 心に傷を持つ人々が織りなすイノセントでピュアな愛の物語。

+-+- 感想 -+-+

 時々、すごく自己嫌悪に陥る時がある。

 もうダメだ。僕なんて、この世で生きる価値なんてありはしない。

 そういう時って、必ず、自分自身を見失っている時のように思える。

 自分自身を見失い、拠り所を失った自分はただその状態が怖くて、自分自身を必死で繋ぎとめようと、自分を痛めつけたり、または他人を痛めつけたりしなくてはならない。

 何か特別な事で自分自身を繋ぎ止めなくてはならなくなるのだ。

 

 そんな時、ふと、あなたに「イルカ」が現れたらどうだろう??

 どんな状況でも受入れ、そして変わらない接し方をしてくれ、ただただともに傍にいてくれる。そんな特別な存在。

 この小説は様々な「イルカ」が現れる。

 そのどれもが愛しくて、いつのまにかにこの小説自体が僕にとっての「イルカ」になっていた。元気付けられる作品である。

 

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