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 ◇「スキップ」 北村薫 (新潮文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 昭和40年代初め。私一之瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高2年。それは9月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた…
 目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。私は一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ―でも私は進む。心が体を歩ませる。顔を上げ、<私>を生きていく。

+-+- 感想 -+-+

  読後感はなんとなく切ないけれど、それよりもたくさんの勇気と元気をもらったなという感じだった。北村薫は初挑戦だったけど、すごくすんなりと世界観に入り込めた。とても柔らかな文体で、文章の端々から主人公の真理子の感性が感じられる。そしてそのとても前向きで、肯定感の強い主人公の姿はなんとなく僕を元気付けてくれる。

 心と身体とはどういう関係にあるのでしょう?
 そして時と僕達の関係は?

 答えはわからない。それはスキップを読み終わった後でも明確な答えを出すには、まだ僕は若すぎるような気がする。中年の気持ちというものがいまいちうまく実感として理解する事ができないからだ。時と僕達の関係に関して、ただ一つ理解できた事は、過去に過度にとらわれず、今を一生懸命に生きる。そういう事が大切なのだろうし、未来は今の生き方が形作っていくものなのだろう。

 そういう当たり前の事を、改めて強く認識できた。
 だから僕はこの時をとても必死に顔を上げて、真理子のように今、この瞬間を生きていきたい。

 

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