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 ◇「希望の国のエクソダス」 村上龍 (文芸春秋)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 …始まりはテレビの映像からだった…

 それに促されるように、登校拒否し始めた中学生たち。

 経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏をめぐるアジア通貨危機では情報戦略を駆使して、意外な結末をもたらす。

 その後、全世界注目の中で、彼らのエクソダスが始まった。

 

 村上龍氏が三年間の取材をすべてこの作品に活かしたという話題作。

+-+- 感想 -+-+

 読書中、何度、僕は怖さのあまり、身震いしたのだろう。

 この本はホラーではないけど、ホラーよりも怖いような気がした。

 あまりにも赤裸々に日本を描き、日本人を描き、そして若者を描いているような気がした。もちろん、違和感を覚えるのもかなりある。しかしそれがあっさり色あせてしまうほどに、日本はリアリティに本の中に存在した。

 

 村上龍は「現代を巡る絶望と希望を書き尽くす」と書いたけど、それはかなりのレベルで成功しているように思えた。

 僕たちが抱える言葉にできない恐怖。

 時代に取り残されてしまう現実。

 

 僕たちはいつ、思考を停止させてしまったのだろう。

 なぜ、現実感がないのだろう??

 

 答えはない。

 けど、この本には現在がたくさん凝縮されていた。

 そこから読者は誰もが何かを感じずにいられないだろう。

 

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