|
†…過去は戻らないけど… † |
|
年が変わろうが、どうやら「死」は人の行事に左右されずに、僕を見放してくれるわけではなさそうだ。
正月早々、僕の地元で大きな交通事故があった。就職先や進学先が決まった高校生が八人死傷したのだ。 その中に決して癒えぬ傷を僕が負わせてしまった少女がいた。彼女は就職先も決まっていたが、この事故で他界した…。
「あの時」、僕は中学一年生で彼女は小学4年生だった。 事件自体は僕の「過失」である。しかし僕が彼女を傷つけてしまったのは事実だし、それに色々な状況で言い訳をしても意味がない事である。だから僕は彼女をひどく傷つけた事がある。それだけが事実なのだ。 今でも彼女の泣き声が時々脳裏にかすめる事がある。そうすると、僕はどうしようもない気持ちになってしまう。なぜ、あの時もっと注意をできなかったのだろう。そう思う。もっと僕が注意さえしていれば、何も起こらなかった筈の事故なのだから。
過去は戻らないし、変わるわけでもない。ただ風化していくものは風化していくし、風化しないものは決して風化しない。そして風化しない記憶は一層明確な意味を帯びていくのだ。あの事故は僕にとって決して風化しない記憶の一つである。 そして僕があの時傷つけた少女が事故死した。 哀しいと言えば哀しい。苦しいと言えば苦しい。うまく自分の感情を把握しきれない。いや枝の部分は把握できても、自分の芯の気持ちがうまく把握できない。
何を言えばいいのだろう。どう表現すればいいのだろう。わからないから落ち着かない。彼女は他界した。 あの泣いた少女はもうこの世にはいない。そして僕は生きている。 うまく言えないけど、彼女が人生を楽しめた事を祈るしかない。僕にはもうどうしようもない事なのだから。 彼女が小学生の頃に、一人の阿呆な中学生に傷つけられても、幸せな人生を送ったことを僕は信じたい。そして僕は二度とあんな不注意な事故を起こさない事を、今一度心に刻み込む。 |