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School-days![]()
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†…School-days.1… † |
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君は秘密を守れるかい? ああ、別に守れないなら、これを聞かなければいいだけなんだ。 これは予言だよ。 歴史という名の精緻に編まれた曼荼羅の一部を僕が読み取って、君に伝えるようなものなんだ。 いつの時代か、どこの場所の話かは僕もわからない。 ただ、いつかどこかでそれは必ず起こるって事だけは確かさ。 ああ、そんな顔をしないでよ。 そうだな…これは御伽噺だと思ってくれていい。 そう、とてもおかしく、とても哀しい御伽噺だってね。
「君を救いたい…」 僕は彼女の震える肩を抱いた。 彼女は僕を見上げ…そして首を一度だけ横に振った。 「僕は君の力になりたいんだ」 抱いている手に力をこめる。…でも、彼女の震えは止まらなかった。 「わたしは救わなければいけないの、この地球を」 それはわかっている。彼女は世界でただ一人の神に選ばれし子なんだから…。 生贄という世界に選ばれた子。それは唐突に訪れた彼女がギリシアのオリンポス神殿で、彼女の名が刻まれたのだ。 そして、彼女と、僕と、そして数人の友人たちが彼女を神々の島へと送り届けることになった。 神々の島…。 それは唐突に太平洋のど真ん中に浮上した島だ。 アメリカ空軍やら海軍が調査に行ったけれど、結局、誰も帰ってこなかった。そして、その後、アメリカでは多くの得体の知れない怪物が出没し、甚大な被害が出た模様だ。突然の出没の原因は不明だが、世論では、神々の天罰だという意見が大半を占めている。確かに怪物たちは今までの科学では解き明かせないものだから、神の天罰と考えるのも仕方が無いが、浮上した島に未確認生物が存在し、それが海を渡り、アメリカに出没したという風に考えるのが自然だろう。もっとも、それを抽象的に『天罰』と表現しているにすぎないのかもしれないが。 「刀とかけて、真面目と説く、その心は『しんけん』」 「…相変わらず殺人的につまらんダジャレをかますなぁ…」 …僕の背後からまったく緊張の欠けた声が聞こえてきた。なるべくなら、耳を塞ぎたかったが、さすがに耳を閉じることはできない。 「おおっ、お若い二人の邪魔をしてしまった」 「無粋なことをするもんじゃねーよ」 「なんだ、ただ通りすぎただけではないか?」 「…声をかけずに無視してやれよ」 「わたしたちは彼らにとっては蟲みたいな存在なんだな」 「…もしかして、それもダジャレか?」 目の前の麻美が目を僕の背後にやる。楽しげに目が笑っていたから、ほんのちょっとだけほっとした。最近、麻美はずっと落ち込んでいたからだ。 「おぬしもわざわざ私のダジャレを確認するとは…無粋で困る」 「無粋なのはおめーだろ!?」 掛け合い漫才をしているのは、麻美の友達(…なのか?)の瀬谷英人と吉沢さやかだ。麻美の護衛として進んで引き受けてくれた得難い友人だが、同時に稀代の変人でもあるような気が僕にはする。麻美は不思議そうに英人とさやかを見つめた。 「珍しい組み合わせじゃない?」 「俺たち、ジャンケンで負けて、焚き火にする小枝を探してるんだよ、他は材料をみんなで作るんだってさ。」 英人は肩をすくめる。 「じゃあ、わたしも手伝わなきゃ!!」 麻美の言葉に英人は焦ったように首を横に振った。 「いいのいいの、麻美はゆっくり休んでな。明日もかなりきつい道になると思うし。健司は麻美の護衛をよろしくな!」 「そうだぞ。ナイトはプリンセスを守り、ナイト(夜)もずっと付き添ってなくてはならぬのだからな」 「……」 しばし、僕たち三人が真っ白になっていたのは言うまでも無い。 「じゃ、じゃあ、そーゆーわけでなー」 さやかを促すと、英人はまた来た道を戻り始めた。まわりを僕はもう一度見渡してみる。日本では決して見ることのできない木々たちだ。東南アジアなどの熱帯に生い茂る木々たちだろう。時々、鳥たちが頭上を横切るが、その鳥を他で見かけたことはなかった。 「なんだか、笑っちゃうよね」 「さやかのダジャレに!?」 僕の声はあまりの事に裏返っていたと思う。麻美は少し苦笑して、首を横に振った。僕は内心ホッとした。彼女のお笑いセンスがどうしようもないレベルに落ちたわけではないようだったからだ。 「さやかってさ、色々、物事を見通しているのに、どうしようもなく変なところがなんだかおかしくってさ…。」 確かにさやかを一言で表現するのならアンバランスという言葉になるだろう。学校でも有数の美人だ。入学当初、ファンクラブまでできた。多くの男性が彼女に交際を申し込み、 「農耕とかけて、恋愛と説く、その心は『すき』」 というどうしようもないダジャレで撃退されていった。しかも、陰陽師で、スポーツが大好きだけど、運動神経がない。人の心の痛みを理解できるくせに、それを解決する方法は嫌がらせとしか思えない方法を採る。つまり、どちらかは超一流にもかかわらず、もう片方は超三流。最近ではやっと彼女のペースに慣れてきたが、それでも彼女はまだまだ理解不能な部分が多かった。 「まあ、面白い人間である事は確かだよね」 「綺麗だし…」 「いや、麻美の方が…」 僕は何気なくそう答えた時、突然、獣の咆哮が僕たちの右手からした。反射的に身を硬くする麻美を僕は彼女の肩を抱いたまま、前方に倒れこんだ。僕たちが数瞬前までいたところを何かがすばやく横切る。僕はその正体を見極めようと目を凝らし、そのモノを目で追ったけど、何かを判別する前にそれは草叢へと消えた。 「何かな?」 僕の腕の中で麻美がそう呟く。彼女をちょうど抱いた姿勢で、僕は一瞬だけその腕の感覚に恍惚となった。しかし、今はそんな時ではないと僕は邪な考えを頭から追い払った。 「わからない。ただ、危険な生物だというのは確かだろうね。」 僕は腰に正宗をすらりと抜き放つ。そして彼女に耳打ちする。 「ここに伏せていて」 僕は腰を低くして、辺りを見回しながら立ち上がり、素早く麻美から五メートルほど離れた。麻美の「気をつけて」という言葉だけ僕は確認できた。 北辰一刀流。 名前だけなら聞いたことのある人がほとんどだろう。 坂本竜馬が免許皆伝をとった流儀で、綺麗な型をベースとする。しかし、綺麗な型はその無駄の無い動きから生まれるものであり、そのシンプルさは日々の基礎の積み重ねから生まれるものだ。 僕は正宗を両手に持ち、すっと剣先を自分のこめかみの高さに引き上げる。中段の構えだ。まわりは暗闇だが、かすかに気配が消えた草叢に残っている。 僕は少しだけ剣先を下げた。 ――刹那、気配が右手から生まれた! 小刻みなステップで後方へと移動し、相手の攻撃をかわす。その時、相手の姿が見えた。 狼のようだったが、奇妙な角が生えていた。 スピード自体も狼と大差ないだろう。 これなら斬れる! 僕は狼の首を落とすために縦に一閃した。 肉を斬る独特の感覚が――ない!? カンッ! と鋭い金属と金属がぶち当たる音がして、剣がはじかれる。 斬れていない!! 狼が方向転換して、襲い掛かってくる。 すばやく僕は剣を相手の軌道上に剣先を戻し、狼のこめかみを強打する。 カンッ! また斬れてない!? 僕は焦った。相手はどんな身体をしているんだ!? 「口の中よ!!」 麻美の声が聞こえる。 そうか。それなら斬れるかもしれない。 狼が方向転換した。 ――麻美の方に―― しまった!! 狼が麻美に襲い掛かろうとする。 僕を助けようとして彼女は声をあげたのだ。それが仇になった! 僕は必死で麻美の下に行こうとしたが、どうにも間に合いそうにはなかった。 「麻美!!!」 「きゃっぁぁぁ〜〜〜〜!!」 僕の声と麻美の悲鳴が重なった時、突然、狼が後方へ吹き飛ばされた。エレキネス!? 彼女にはそういう特別な力はなかったはずだ! 動揺しつつも、僕は何とか彼女と狼の間に身体をすべりこませる。 狼は一瞬、ひるんだようだが、またこちらに襲い掛かってきた。 僕は剣先を相手の開かれた口の中を突く。 『ぐわぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!』 耳を塞ぎたくなるような唸り声をあげ、狼は倒れた。 さすがに口の中までは硬くなかったようだ。 「ふぅ」 僕は一つ息をついた。 「麻美大丈夫?」 「…うん」 僕は彼女の方を振り向くと、彼女は少しだけ弱弱しい笑みを浮かべて、座っていた。彼女に手を差し伸べると、彼女は僕の手を握り、そして立ち上がった。 「助かったよ、麻美がいなければ危なかった」 「わたしだって最初に健司に助けられたよね、ありがとう」 僕の腕に彼女は自分の腕を絡ませる。生きている…という実感が腕から伝わり、僕はもう一度安堵のため息をついた。 ここは予想以上に厄介なところかもしれない。 そんな気がした。
「何か異変はなかった…わけじゃないようね」 水を汲みに来たのか、キャンプをしている近くの湖のほとりに藤井真由子は佇んでいた。手にはやはりバケツを持っている。彼女は僕たちの姿を見て、眉をひそめた。 「どうしてわかる?」 「返り血を浴びているわよ」 僕は愕然とした。良く見ると、僕の腰から下が狼の血で真っ赤に染まっていた。今まで暗闇で気が付かなかっただけだ。普通なら気づいてよいものだけど、かなり僕は動揺していたらしい。そこまで気が回らなかった。ここは市川茉里の作った人工的な光が一つ宙に浮いている。彼女は…簡単に言えば超能力者というもので、様々な力を持っているらしい。もともと、彼女と仲のいい瀬谷英人も同じような力を持っているらしく、この二人はどうもわからない。つまり、謎に満ちているのだ。 僕はふと不自然なことに気づいた。 「なぁ、なんで英人たちは焚き火の小枝なんて探しているの?茉里ちゃんか英人が人工的に火を作ればいいのに?」 「英人がキャンプと言ったら、キャンプファイア、キャンプファイアと言ったら、焚き火!!なんだってさ」 真由子は苦笑する。肩をすくめ、バカにつける薬はないというように左右に首を振った。 「なるほどね。」 「おおーい、枝とってきたぜ〜。」 後方から英人の声がする。振り向くと、英人とさやかが歩み寄ってきた。どこから探し出したのか、枝はソリに山盛りになって積み上げられている。 「そのソリは?」 「それはソーリー」 『……』 真由子の質問にさやかが即答する。もちろん、全員真っ白になった。 「…あ、木をくり貫いてソリの形に整えて、糸をつけただけさ」 数瞬後、なんとか自分を取り戻した英人が真由子に答える。 「あ、あああ、そうなんだ。今日は焼肉だからさ、火待ちだったのよ」 「おおっ、それは…」 「ソーリー」 さやかの声に英人のこめかみが引きつった。 「てめぇっ!!いつまでそんなさも恐ろしく寒いギャグを連発できるんだよ!!普通に会話できないのか、ええっ?」 「無粋だぞ、英人。この高尚で機知に富んだ、わたしのハイセンスなジョークがわからないのか!?」 「んなもん、わかってたまるか!!」 てんやわんやの口論である。まぁ、口論というより、一方的な非難と、一方的な弁明とも言えるが…。 「と、とにかく夕飯にしましょう」 麻美の言葉に二人は渋々頷いた。 どうやら、この二人も空腹には敵わないらしい。
「あ、お疲れさま〜」 ベースキャンプ地に戻ると、すっかり準備を整えた市川茉里が声をかけてきた。ベースキャンプ地にはいくつもの人工の光が浮いており、まるでネオン街にいるような明るさだ。 「お水、貸して」 真由子に声をかけたのは、中田朋美。ショートカットのボーイッシュな女の子だ。大人しい性格をしているが、これでもあの鉄の女藤井真由子と親友なのだから、意外と芯は強いのかもしれない。真由子からバケツを受け取ると、やかんに水を入れた。そして、茉里に手渡す。 茉里は目をつぶると、神経を集中させた。目では確認できないが、生水を浄化しているらしい。 「彼女は性質変化をする事ができる」 そう英人が言っていた事があった。 彼女が朋美にやかんを返す。朋美はやかんを準備した食材の隣の置き、英人と茉里は拾ってきた枝を組んだ。その上に鉄板を置くと、英人が指を鳴した。一気に枝が燃え上がる。 「よし、油をひいて、食おうぜ!」 バーベキューほど料理人の腕を問わないものはないだろう。 つまり、自分好みに焼き、それを食べる。 それ以外に何も無い。料理が不得手というわけではないのだろうが、手間もかからないというのが大きいのかもしれない。 「やっぱ、外で大人数で食べるなら、バーベキューだよな。俺、こーゆーの憧れだったんだ。」 嬉しそうに英人が肉を頬張りながら(しかも肉ばかりを食べて!)、話してくる。 「英人って一人っ子だったわけ?」 真由子が小首をかしげて、英人に尋ねると、英人は一瞬、戸惑ったような表情を浮かべた。 「あ、あー、うーん、そうかもなぁ。俺ずっと家族とは離れ離れだったし。仲が良かった人はバーベキューなんて気のきかしたものはやらなかったからさ。みんなで食うとすっげー楽しいじゃん。」 英人の隣に座った茉里もにこにこと笑いながら、頷いていた。返す返すこの二人の関係は謎である。 美女と野獣という事だけは確かなんだが…。 「お前!そんなに肉ばかり食うんじゃないよ!!」 真由子がびしっと英人の手をはたく。その拍子に英人が箸でつまんでいた肉が下に零れ落ちた。 「わっ!!!!!何すんだよ!?男女!!」 「誰が男女ですって!?わたしはれっきとした女よ!!」 「女っつーのは、もっと心優しく、穏やかなものじゃねーのかよ!!」 「それは男女差別だわ!!女も今は力強くパワフルに生きる時代なのよ!!」 このパーティのリーダー格の真由子が力強く右手を握りこぶしにして、力説する。隣の朋美はこの真由子の姿になれているのか、のんびりと焼肉を焼いては、食べている。ある意味、それも恐ろしい。 「世間一般の女がお前みてーな古武道で不良を一掃しちまうような凶暴な生き方をしているわけねーだろうが!?このバカがっ!」 「ふん、あんただって世間一般の男が炎を作り出したり、遠くのものをばっさり何も使わずに切り落とせるわけないじゃない!?」 「俺は元・神様だから、凡庸な男とは違うわけさ」 「はいはい、寝言は寝てから言う事ね!あんたみたいな煩悩に支配されている男が、神様なわけないじゃん!!神様じゃなくて悪魔なら納得できるけどねぇ〜」 「英人とかけてカミと説く、その心はすぐキレる」 「ふふふふ」 さやかのつまらないダジャレに一同真っ白になったかと思えば、茉里が一人だけウケていた。どうやら彼女には英人の短気が身にしみているらしい。 「さやか〜〜〜〜〜〜っ!!!」 英人の絶叫がこだました。 「茉里のように英人もわたしのハイセンスなダジャレを理解できるようになるといいんだけどな…」 そう言って、さやかは左右に首を振った。言葉さえ無視すれば憂いの令嬢と表現してもいいが、残念ながらその言葉が彼女の容姿を裏切っていた。 がっくりと英人が疲れたように肩を落とし、ため息をついた。 「ねぇ、森川、あんたと麻美はヘンな狼に襲われたんだよね?」 「ああ、身体が鋼のように硬い狼だ」 僕は真由子の言葉に頷いた。 「鋼のように硬い?」 朋美が小首を傾げる。いまいち想像できないらしい。まぁ、僕も実際出遭わなければ、ロボット型の狼を思い浮かべていたが。 「普通に見る分には額にある角以外は普通の狼なんだ。だけど、実際、その身体は鋼のように硬い。口の中に刀を突き刺せたから、体内は普通なんだろうけど、非常に厄介な相手だったよ」 「仮定だけど、他の怪物もそのような特殊な形態であれば、アメリカが苦戦するのも頷けるわね。普通に銃で撃っても、身体にはかすり傷一つ与える事が出来ないんだからね。でも、よくもまぁ、核兵器を使わなかったわね」 「使えなかったんだよ」 「えっ?」 英人は肩をすくめて、真由子を見る。 「だって、この大陸を消滅させてしまっては、この地球が消滅してしまうからな」 「…うそっ」 「こんな事で嘘なんてつくかよ。この大陸の北側には大量のトリウムが埋蔵されている。軽く地球一個を崩壊させるだけの物量がね」 僕も含めて全員が沈黙してしまった。つまり、この土地は核反応を引き起こしてしまうトリウムがうじゃうじゃあるという事なんだから。 「何で黙ってたのよ!!」 「何、トリウムがあったら、真由子は麻美の旅路に同行しなかったって事を言いたいわけ?」 「…っ、そんなんじゃないわよ!!ただわたしたちにはそれを聞く権利があったと思うのよ!」 「わたしもそう思う。それを聞いて、わたしたちが麻美だけを行かせると英人が思っていたのなら、それは謝ってもらいたいわ。わたしはそれでも麻美と一緒に行くつもりだから」 真由子と朋美の言葉に英人はバツ悪そうに首をすくめた。 「それは…悪かった。ただ、これを外に漏らすわけにはいかなかったんだ。これが知られたら国家間の争いに進展しかねなかったからさ。これは国連の意思決定だ。――そーだろ?さやか。」 「……んっ?そーだっけ?」 「お前、聞いてただろ!?」 「うーむ、隣に英人がいたから、安心して聞いてなかった」 「聞いとけ!!」 「まー、そんなわけだから、役人根性の英人に文句を言わず、国連に文句を言ってもらえると、同僚としては嬉しい」 「…なんでさやかが国連に?」 麻美が呆然としたように尋ねた。ある意味、トリウムの存在よりもショッキングだったかもしれない。いや、絶対、ショッキングだったはずだ。実際、僕もトリウムのショッキングよりこちらの方がショッキングだった。 「いやぁ、日本の陰陽師の最強術者として国連に推薦されて、成り行きで、なんとなく」 「成り行きでなんとなく国連って…」 どこか呆れたように真由子が苦笑した。さやからしいと思ったからだろう。ジョークだけではなく、日々の感覚もさやかはどこか常人とは違う。陰陽師だからと言えるかもしれないが、僕の意見ではさやか個人の性格がかなり個性的とゆーか変なのだと思う。言ったら、呪い殺されるような気もしないではないが。 「まぁ、そんなわけでトリウムは回避するように行動してるから大丈夫さ。」 「そんなの…」 「んっ?」 「そんなの無責任だよ!!」 英人は麻美の言葉にびっくりしたように目を丸くした。 彼女は温厚な性格だ。大きな声で怒鳴るなんて事をされるとは思わなかったのだろう。僕も正直、驚いている。 「だって、わたしはみんなを助けたくて、この島に来る事を決意した。でも、わたしが行く事で、みんなが危険になっていくのは耐えられないよ!!」 「…だから…」 麻美は胸に手を置いた。 「みんな、お願いだから帰って!」 その麻美の声があまりにも切実だったので、全員が息を呑んで、場は沈黙した。 「もう、わたしのために危険を冒してほしくない。わたしのために誰かが傷つくのはイヤなの!!」 「麻美…」 僕はこんな時、どんな事を彼女に伝えればいいのかわからなくなる。たくさんの思いが言葉となって浮かんでは消えていった。何かを言おうにも彼女に真実を伝える言葉は浮かんでこなかった。 僕の中にある優しさはただ戸惑っていただけだった。 「いいじゃねーか。俺たちは俺たちのために行ってくれる麻美を守りたいから守る。俺たち、友達だろ?水臭いこと言うなよ。」 英人がにやりと口の端を吊り上げ、親指を立てた。 「そーよ、麻美。わたしたち、友達じゃない。危険の100個や200個くらいどーんと任せてよ」 真由子が軽くウィンクをした。 「わたしの大切な人たちのために麻美が頑張ってくれていることに対するささやかなお返しだと思って」 茉里が微笑んだ。 「麻美一人だけに背負わせるわけにはいかないよ。わたしも出来る限り一緒に頑張るから」 朋美が隣に座る麻美の腕にそっと手をかけた。 「一人はみんなのために。みんなは一人のために。それが三銃士の誓いだな。―――もっとも、わたしは三銃士ではないけど」 さやかがうんうんと頷く。 そして… 「麻美、君を僕はもう二度と失いたくないんだ。だから…君を僕はできる限り手助けしたいんだ」 ただ勢いで彼女に言った。彼女―麻美は僕たち六人を見て、涙ぐんだ。そして、左右にいる僕と朋美の腕に麻美は自分の腕を絡ませ、 「ありがとう」 そう言うのが、精一杯であとはただ嗚咽するだけだった。 「麻美、もう休みな。今日は大変だったからね。健司頼んだよ。」 「うん、わかった」 僕は真由子の言葉に答えると、嗚咽する麻美の背中にそっと手を触れた。 「さぁ、もう休もう」 麻美はこくりと頷くと、うつむき加減でそっと立ち上がった。泣き顔を仲間とは言え他人に見せたくは無いのは当然だろう。 「…みんな、ありがと」 蚊の鳴くような声で麻美が言うと、5人は頷いた。 「おやすみなさい」 『おやすみ』 頼もしくもありがたい五人の声を背に、麻美と僕はテントへと移動した。テントは全部で三つ持ってきている。男子用に1つ。女子用に2つ。でも、実際は僕が麻美のテントの前で見張りをしながら寝ているので、英人もついでに追い出され、女性陣が三つのテントを独占している。茉里が英人と一緒のテントでもかまわないと申し出たが、 「ダメよっ!!!あんな野獣よりもタチの悪いモノと一緒に寝ちゃ貞操を失ったのと同じだわ!!」 「何言ってんだよ!!俺がそんな事をするようなやつに見えるわけ!?」 英人の猛反論に間髪いれずにこくりと頷く真由子、朋美、さやかの三人。さすがにこの三人の反応に言葉を無くした英人は地面にへのへのもへじを書きながら、地べたで横になった。 「なんで、そんな風に思ってるんだよ。俺だって普通に寝たいだけなのによ。どーしてこんなに信頼してもらえないんだよ。俺たちって仲間だろ?仲間…」 と言って、いじけていた。 「わたしもかまわないけど…」 「ダメだよ、彼は紳士的とは言い難い人物だから」 テントから麻美の声がしたけど、僕は即座に彼女の提案を却下した。英人に同情はするが、麻美と一緒のテントに寝かせるのは納得できなかった。不安もあったし、何より…たぶん、僕は嫉妬したのだろう。 「…うん、そうかもね。英人には悪いけど」 そうして、英人の野宿が決定したのである。
「放射能感染は大丈夫なんだね?」 「ああ、その心配はない。ここにいる奴らは俺を除いて、全員悪魔だからな〜、わーはっは…ぐふっ」 真由子の裏拳が鋭く英人の顔面を強打する。英人は顔面を抑えながら、ぎろりと真由子を睨んだ。 「あにすんだよっ!!」 「ふざけた事をぬかすから、殴っただけよっ!」 「事実だろ?!」 「英人が悪魔なのは仕方がないけど、他は全員人間よっ!」 「こんなサムイ冗談をぶっ飛ばす奴もみんなと同じ人間と言えるのか!?」 びしっとさやかを指差し、猛反論する英人。真由子ははっとした表情で、さやかを見た。確かに、同じ人間として考えられないくらいおそろいくつまらないダジャレを連発する。 「そっ、それは…」 「ふふん、さやかが人間らしい人間なら俺は人間じゃなくてもいいけどねー。」 「あそこの木がきになる」 「…っ」 さやかのダジャレが一層真由子を打ちのめす。英人は勝ち誇ったかのように、にやりと笑った。その刹那、さやかの指差した木から何かが真由子に向かって、すごいスピードで飛来する。 「わっ!!」 真由子は上半身を捻って、それをかわし、飛んできた『それ』を見た。 「…っ、何これ!?」 それは木へまた隠れる。いきなりの攻撃で、僕はそれを確認できなかったが、真由子はどうやらその姿を確認できたようだった。 「右から来る!」 さやかの言葉に反応して、真由子は素早く右に身体を向ける。 その刹那、またスズメ並みの大きさの何かが今度は真由子の後方にいた朋美へと襲い掛かった。 「きゃっ!!」 朋美の肩にぶつかり、また反対側の木へと消える。 「つっ…」 「朋美!!」 朋美が膝から崩れ落ちるのを真由子が抱きとめる。朋美の白地のシャツは肩口が切り裂かれ、そしてそこは鮮血に染まっていた。 「また来る!!後ろ!!」 さやかの言葉に英人が右手を一閃させる。 何かが金属同士がぶつかり合う音がして、そして木だけが揺れた。 「斬った?」 茉里の言葉に英人は首を横に振る。 「いや、思ったよりも硬い。鉄じゃないな。鋼かも…。まぁ手傷を負わせたよ」 「斬れる?」 「もちろん」 英人は不遜に笑った。 「英人、わたしにやらせて」 「硬さは鋼だぞ…」 「わかってる。でも、朋美をやったら、どうなるか知らしめてやるわ」 僕もそして英人も他のみんなも慄然と立ち尽くした。 真由子の殺気がすさまじいほどに膨れ上がっていたからだ。 「さやか、ナビよろしく」 「了解」 「茉里、朋美を」 「はい」 真由子から朋美を受け取ると茉里はすばやく身を伏せた。そしてそのままの体勢で、朋美の傷口に手を添える。 「少しの辛抱ですから」 「ごめんね」 「いえ」 真由子は素早く辺りを見回す。やはり相手の殺気を感じ取れない。 ――なぜだ? 生き物であれば、何かをしようという意志を持った時、それに応じた気というものを発する。しかし、襲撃してきたものはその気を感じさせない。僕は麻美の肩を抱いて、座らせて、必死にその気配を探った。 「気配では探れない。もっとも、さやかは違うようだけどな」 いつのまにかに英人が僕たちの傍にいた。視線を鋭く左右へと散らす。 「今のところ、かなりの手傷を負ったから、攻撃には慎重になっているようだな。麻美ちゃんたちは大丈夫だぜ」 「じゃあ、真由子たちを手伝って」 麻美の言葉に英人は首を横に振った。 「やったら、俺が真由子に絞め殺されちまうよ。あいつは手を出すなと俺に言った。だから、俺は手を出さない。あいつの強さは折り紙付きだからな。あんな妖精まがいの生き物にやられるわけない。」 「妖精まがい?」 「ああ、手のひらサイズの羽をくっつけた人型の生き物を妖精って言うんだろ?」 「…そうだけど、そんなもの、物語の中だけの生き物じゃないか?」 僕の言葉に英人は肩をすくめるだけだった。 そんな事、知るかよ。 そういう風に言っているように思えた。 「左から!」 さやかの声が響く。それに合わせて、真由子は素早く左手を突き出した。それとほぼ同時に枝の間から英人曰く『妖精まがい』が飛び出してくる。真由子の突き出された手ではなく、真由子の顔面に向かって、妖精まがいが襲い掛かる。しかし、真由子はその突き出した右手を後頭部の方へと折りたたみ、飛来した妖精まがいへ肘鉄を喰らわせた。 ぐぎゃぁっ!!! 妙な悲鳴をあげて、妖精まがいがまた飛来した枝の間へと消える。真由子はまた両腕をだらんと垂れさせ、自然体の姿勢をとる。 「…いやぁ、あの硬いのを肘で叩き割るのだから、末恐ろしいぜ」 英人が感心したように吐息を漏らした。 僕も同感だ。普通の人間なら、肘が身体の中で最も硬い部分だとしても、あの衝撃で骨が粉砕されていてもおかしくはない。 僕の刀ですら、両断できなかったのに、彼女は肘で相手を迎撃できたのである。 「逃げる!?」 さやかの声が戸惑った。珍しい事だ。 真由子は深呼吸すると、今度も同じように右手を開いた状態で勢い良く突き出した。その刹那、空気の振動のようなものが、そこから僕たちのところまで届いてきた。 それよりも若干早く、真由子の突き出した手のひらの延長線上の枝が、何かに吹き飛ばされ、そして、「ぎゃあっ!!」というような悲鳴がその先の暗闇からした。 「何、今のは?」 「…気功よ」 若干、顔色を取り戻した朋美が僕の言葉に答えた。 茉里のヒーリングがかなり効果があったのだろう。すっかり傷口は消えていた。 「彼女は気功を使えるの」 朋美は悲鳴の聞こえた方をじっと見つめる真由子へと視線を移し、僕たちもそれに倣った。 真由子は声の聞こえた方に行き、草叢へと消えたが、少しして帰ってくる。彼女の手のひらにはぐったりと横たわった手のひらサイズの羽の生えた人間が横たわっていた。 「やったわ」 そう、真由子は言った。いつもとは違って、無感情な声音だった。 「殺ったのか?」 「ええ、手加減はしなかったわ」 真由子は無造作に英人へとそれを渡す。英人はそれを受け取ると、途端に妖精まがいは発火した。まるで内側から燃えているような、そんな燃え方だった。 「朋美、大丈夫?」 真由子は茉里に肩を支えられながら、歩いてくる朋美へと視線を移す。朋美は頷いた。 「ごめんね、心配させちゃって」 「いいのよ、こういうのは助け合いよ」 真由子が照れたようにぶっきらぼうに答えたときには、英人の手のひらの妖精まがいはもうすでに灰になっていた。
森林に入って、もうすでに三日目。 どこまで突き進むのか若干不安になってきた。まだ山道のようなものがあるため、歩くには問題ないが、これだけ森林が続くと、やはり自分たちの進むべき方向というものを見失いそうになる。衛星写真を見る限りでは、森林部分は全体でも20%ほど。他には砂漠が24%に、草原が30%、山間部が18%に、残りは湖や川などの部分だ。 それほど広大な森林があったとは思えなかったから、なお一層、僕は不安になった。 「なぁ、この後、どうするんだ?」 先頭を歩く英人に声をかける。英人はちょっと空を見上げた。 「そーだなぁ。あと一日くらいこの森林を歩いて、次にこれまた二日かかりで砂漠を踏破し、その後、四日くらいで目的地だな。」 「まだ7日かかるってわけか?」 「ああ、あと七日くらいは観光できるってわけさ」 「砂漠の二日間ってのが気になるんだけど?」 朋美が口を挟む。すっかり肩の傷も痛まなくなったらしく、軽快に歩みを進めている。 「極端に暑いってわけではなく、何かの影響で砂漠化してしまったところだから、水の確保さえなんとかすれば大丈夫だろ」 「何かの影響って?」 真由子がたずねると、英人は軽く肩をすくめた。 「さぁな。ただ隕石がぶつかったにせよ、他のどんな可能性にしろ、そこに一切の生き物を排除してしまうほどの何かが起こったのは事実だと思うぜ」 英人は難しげに眉をひそめて、軽く前方の虚空を睨んだ。 「正直な話、そこに何があるのかわかっていない。もちろん、そこが砂漠なのは確かだし、トリウムはそこに存在しないのも確かなんだけど、それがどうも俺には胡散臭く感じる。何もなさ過ぎるんだ」 「だったら、砂漠は回避すべきじゃないのか?」 僕がそう言うと、英人は首を横に振った。 「無理だな。砂漠を横断しない限り、神の都には到着できないし、その横断には最低二日を要するんだ。瞬間移動の能力者がいるわけでもないから、砂漠を通るしかない」 「行ってみて、そして判断しよ」 麻美が明るく言う。 「わたしたちに足踏みは許されないから」 その後、一日中、僕たちは歩きつづけ、そして、まわりの風景は徐々に緑がまばらになり、次の日の正午を過ぎる頃にはすっかりあたりは砂漠になっていた。見渡す限り、青い空と黄砂が視界を埋める。 「これから砂漠だ。だが、森林以上に注意をしてほしい。ここは衛星で確認するだけでは何も存在しなかったが、それは考えられる限り、ありえない事なのだ」 「なぜ?」 真由子が英人の言葉に突っ込む。僕は英人の雰囲気ががらりと変わったような気がした。 「この島はある何かしらの組織系統が存在すると考えられるからさ。つまり、森林には森林の主、草原には草原の主がいて、彼らは非常に知性も高く、とても規律を重んじている。どのテリトリーにも必ず規律が存在し、私達はそれを守るように行動していた。…だが、ここはその規律がわからない。という事は、今までよりもずっと多くの危険に遭遇する可能性が高いというわけだ」 「誰よ…あなた?」 朋美が怯えたように英人を見た。英人は朋美を見た瞬間、朋美は大きく身震いをした。 「私は“ヒデト”と呼ばれる者だ」 僕たちは素早く英人から離れた。英人の雰囲気は鋭い真剣を思わせた。触れると切れてしまうようなぞっとする無機質な空気。それが僕たちを構えさせるのだ。 “これは危険すぎるものだ” そう身体が反応する。否応もなく身体が緊張し、僕は無意識のうちに右手を刀の柄にかけていた。英人はそんな僕たちをただ眺めては、口元にうっすらと微笑を浮かべていた。 「皆さん、大丈夫です!!」 その僕たちと英人の間に茉里が割って入った。真由子が構えたまま、茉里に尋ねる。 「茉里、どういう事?」 「英人は…二つのペルソナを持っているんです」 「ペルソナ?」 これは麻美の言葉だ。 「はい、状況によって自分の精神を最も的確に表現してくれるペルソナを選んでいるんです」 「多重人格とは違うのか?」 「たぶん。…彼は一つの精神をただ最適に表現できるペルソナを使い分けているだけで、ペルソナが代わったからと言って、彼の行動が変わるとは思えないんです」 「…いいじゃないか、私が誰であろうと、私は麻美を守る。それだけで充分じゃないか?」 「そんな物騒な気配を出しておいて、よくもぬけぬけと言うわね」 「甲斐性なしなんでな」 英人は肩をすくめる。真由子は振り返って、麻美を見た。 「どうする?」 「わたしは…英人を信じるよ。」 僕は彼女の肩が小刻みに震えているのを確認した。たぶん、怖いのだろう。それだけ英人の雰囲気は物騒なものだった。 「賢明だ」 英人はこれから歩くだろう地平線の彼方を見つめた。 「この砂漠は『俺』ではきっと誰かを殺してしまいかねない。誰かを信じてしまうにはこの砂漠はきっと乾きすぎている」 砂漠の行進の前に僕たちは充分な水を確保した。その後、北東を目指して、僕たちは歩きつづける。 思った以上に砂漠の行進は困難ではなかった。 「砂漠化の原因が高温のためではないみたいだからな」 英人はそう説明する。あの口ぶりからすると、実際の原因にも心当たりがあるようだが、彼が口を開く事はなさそうだった。彼は「俺」の時と違って、寡黙になってしまったからだ。 砂しか確認できない風景に僕たちが飽きてきた頃、さやかがぼそりと呟いた。 「選ぶのはあなたの心次第」 「えっ?」 朋美が聞きなおす。さやかは珍しく冗談を言っているわけではないようで、じっと底の知れない瞳を向けて、繰り返した。彼女の瞳はただ天から降り注ぐ太陽の光を反射させているだけだ。 「選ぶのはあなた次第。ここはそういうとこ」 「どういう事?」 「…たぶん、そのうちわかるわ」 そして、五時間後、夜がやってきた。 「寝ろよ」 今日、見張りの英人が僕に言う。その言い方は無感情であった。砂漠前の彼なら僕の体調を気にしての発言だろうが、今の彼は“寝た方が体力が回復するから寝ろ”という意味だろう。他の人たちもすでにテントの中に入っては、眠ろうとしていた。 「わかった」 疲れていたのだろう。僕は麻美のテントの前に腰を下ろすと、五分もしないうちに、眠りへと落ちていった。
「ね、もし二人のうち一人しか生き残れないなら、あなたならどうする?」 麻美はそう言った。僕は当然の答えをした。 「もちろん、麻美、君が生き残るべきだと思う」 「わたしは健司が生き残るべきだと思うわ」 彼女の瞳は真摯な輝きが宿っていた。でも、だからと言って僕が彼女の言い分を受け入れるわけにはいかないのだ。彼女は僕の命よりも大切なんだから。 「いいや、僕は君のためになら喜んで命を投げ出すよ」 「それはわたしも同じよ、健司」 お互い沈黙する。その次に何を伝えるべきか、お互いわからなくなってしまったのだろう。 「わたしはイヤ、健司が死んでしまったら、わたしは自分自身を失ってしまう以上にショックなの…」 搾り出すような彼女の声は僕の心を打ち、そして僕もまた彼女の言葉と同じ気持ちだった。 そうして、そんな嫌な気分を引きずったまま僕は朝を迎えた。 意識がぽっかりと浮かび上がり、そして視界が白く染まる。 瞼を開けると、寝る前と同じ格好の英人が焚き火の前に座っていた。 「起きたか?」 「ああ、何もなかったか?」 「麻美が一人で行った」 「なにぃっっーーーーーー!?」 僕の叫び声が寝起きの悪い二人を除き、目覚ましのベルになった。 |