+ 田中芳樹 +
〜田中芳樹の小説に関する考察及び概論〜
<プロフィール>
1984年、学習院大学大学院文学部人文科学研究科(国文学専攻)・博士課程修了。作家。
在学中に幻影城 第3回新人賞(小説部門) 受賞。受賞作は「緑の草原に……」。筆名「李家
豊」。
1982年、『銀河英雄伝説』刊行。筆名を「田中芳樹」に改める。
1988年、『銀河英雄伝説』が第19回 星雲賞(長篇小説部門)を受賞する。
登場自分物がことごとく死んでいくために、“皆殺しの田中”と一部のファンにささやかれる。
プロットの壮大さ、魅力的な人物造形、芳醇なレトリック、明るく流麗な筆致などといった多くの美点を帳消しにしてしまうほどの遅筆で、「著作多数。完結作少数」という作家の代名詞的存在として知られる。
『アルスラーン戦記』は七年もの沈黙し、1999年に第十巻目がやっと出版されるが、またもや沈黙。
しかし、根強いファンがいるのは、その欠点すら目をつぶらせてしまうほどのストーリ性と登場人物たちの魅力に魅了されているからだろう。
多種の作品を著し、近年は中国を舞台とした作品の執筆に注力している。
代表作:『銀河英雄伝説』、『アルスラーン戦記』、『創竜伝』など
<田中芳樹の小説>
設定やストーリーテリングは一流である。錯綜する人間関係、そしてテンポのある、しかも緊張感のある展開。そして緻密な描写。これほどまでに描ききれるファンタジー作家も稀少であろう。
しかしそんな長所よりも田中芳樹の描くキャラクター達の方が僕にとって大きな魅力である。
キルヒアイス・アンネローゼ・ヤン・ロイエンタール・アッテンポロー・メルカッツ・キャゼンヌ、等々…
銀河英雄伝説だけでもお気に入りのキャラがこれほどいる。
田中芳樹の描くキャラクターの中でも特に注目を引くのが、「ナルサス系」である。特徴を挙げると、理知的であるが、舌鋒は鋭く(鋭すぎ)、シニカルである事と言えるかもしれない。しかし僕はこのようなタイプにどうやら惹かれるようだ。しかし実際はキルヒアイスのようなキャラクターに惹かれているのでわかるように、タイプ化はできないのかもしれない。彼らから多くのものを僕は得てきた。
しかしながら多くの長所があるにもかかわらず、田中芳樹はそれに相当するくらいの短所も有している。
それは遅筆だ。「アルスラ」なんて読者は七年も待たされた。彼のその点だけが唯一の欠点である。