+ 村山由佳 +


〜村山由佳の小説に関する考察及び概論〜

 

<プロフィール>

 立教大学文学部卒。作家。
 大学卒業後は、不動産勤務、塾講師を経て執筆活動に入る。
 1990年、「花の万国博」記念の、「環境童話コンクール」で大賞を受賞。受賞作品『いのちのうた』が絵本となる。1991年、集英社少年ジャンプ主催「第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞」で、『もう一度デ・ジャヴ』が佳作入選。Jump j BOOKSの一冊として単行本化される。
 1993年、『天使の卵』で第6回「小説すばる」新人賞受賞。大型新人として注目を集め、同作が単行本化されると、10代の中高生から20代、30代のヤングアダルトまで、若い世代を中心に支持を受けた。
 また1994年にはNHKテレビ「おはよう日本」で月1回のリポーターとして活躍する。
 1995年、読売新聞の『マルチ読書NET WORK』の読書委員。
 1996年、著者初のエッセイ『海風通信』が単行本化されると、40代から50代、60代の世代にファン層が拡大された。

 

 主な作品:「天使の卵」、「BAD KIDS」、「翼」、「きものためにできること」、「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ

 

 

<村山由佳の小説>

 極上の恋愛小説。

 そう表現するのが最も適切ではないかと僕は思う。それは村山由佳という作家の中核を「恋愛」が占めていると考えられるからだ。恋愛をしている人間の心の動きはとても複雑なものである。そこには愛情、憎悪、悲哀、歓喜といった様々な感情が入り乱れ、そして恋愛というものを形作ろうとする。それをこの村山由佳は誰にでもわかる言葉、つまり平易な文章で読者に語りかけるのだ。

 プロットの妙もこの作家の素晴らしい所である。時として、恋愛は微妙な色彩を帯びる事がある。様々な人間関係が恋愛を助長させたり、阻害しようとしたりするからだ。そのまわりの人間関係を村山由佳はとてもうまく描ききっている。脇役達が光る小説こそが魅力的な小説の条件である事は周知の事実である。

 「恋愛」について村山由佳はしっかり定義しているように感じられる。

 「恋愛」とは「人生のバニラエッセンス」

 僕は村山由佳がこのように「恋愛」というものを定義づけているような気がする。バニラエッセンスとはすごく甘い匂いがするが、実はなめてみると、すごく苦い。しかしその匂いはとてもインパクトのあるものだし、バニラエッセンスはお菓子を作る人にはなくてはならないものの一つであろう。だから「恋愛」は「バニラエッセンス」なのだと思う。

 恋愛を通じて、人の人生を描く。人を通じて、恋愛を描く。村山由佳はそんな芸当のできる作家なのである。

 村山由佳はその「バニラエッセンス」をうまく小説にふりかけることの出来る稀有な作家であり、五指に入る切ない小説を書く作家である。

 

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