YZキャブ(SL仕様)について

〈キャブレターでの空気とガソリンの流れ〉

キャブレターは、たくさんの空気が流れる部分にベンチェリーを設け、空気の流れによる圧力の変化を利用してガソリンを吸い上げています。つまり、エンジンの吸収行程(混合気を吸い込む瞬間)でピストンが下がると、燃焼室内の圧力が下がり、キャブレターを通って吸入管、そして燃焼室へと空気の流れが生じます。この途中ベンチェリーを設ければ、この部分の空気の流れで霧状になり空気の流れと同じようにピストンによる負圧(大気圧による低い圧力)で燃焼室へ吸い込まれます。

〈燃焼〉
●酸素がなければ物は燃えない
普通、私たちが燃えるという場合は、燃料が空気中の酸素と結びつくこと、すなわちガソリンでいえば、炭素と水素が空気中の酸素と化合(酸化)し、熱によって燃焼することをいいます。これが、急激に進行すると爆発となるのです。
●ガソリンを燃えやすい状態にする霧化
キャブレターは、まずガソリンを霧のような状態にして(霧化)燃焼室へ送ります。そして、吸入管を通過する際に燃焼室内のの熱によって霧化からさらに一部が気体となり、燃焼室で一気に爆発するわけです。実際には、燃焼室へ大部分が霧化の状態で送られますが、その粒が小さければ小さいほど気化しやすく、燃えやすくなるのです。

〈混合比〉
●理論混合比とは?
ガソリンが完全に燃えると、水(H2O)と炭酸ガス(CO2)になります。理論上の計算では、ガソリン1gを完全燃焼させるためには、空気15gが必要となります。このとき混合比は15(空気):1(ガソリン)。これを理論混合比と呼びます。
●出力混合比とは?
実際のエンジンで、いろいろと混合比を変えて実験をしてみますと、回転数に関係がなく、13:1の混合比のときに最も大きな出力が得られます。これを出力混合比と呼びます。
●経済混合比とは?
同じように、一番燃料の消費量少ない混合比は、回転数に関係なく16:1です。これを経済混合比と呼びます。

●理想的な流速とは?
一般に、霧化作用の最も効率のよい流速は、毎秒50m〜100mといわれてます。流速がこれ以上の場合は、空気抵抗が大きくなって吸入効率が悪くなるため、エンジンの出力がさがります。また、これよりも遅い場合は霧化特性が悪く、出力は出ても普通の走行状態でスムーズではありません。
●ボアによって変わる特性
キャブレターのボア(径)の大きさは、スロットルを全部ひらいた状態で、流速を基にして決められます。少し大き目のボアにすると、出力は出ますが燃費や加速のフィーリングが悪く、反対に小さ目のボアは、燃費はよくなりますが出力が落ちます。レーシングマシンなど、出力のみを目的とするときは大き目のボアにします。


概要


 ミクニのバタフライ型のキャブレタ-です。
基本的にニードル(Hi/Low)のみで適切なセットをだすことが可能です。HiニードルとLowニードルの回しこむ量を変化させることによって、エンジンに必要なガソリン/空気の量を調節します。この調整は季節や天気によって変化します。
標準セット:60〜90分(Low)、45〜90分(Hi)

アイドリングアジャスターを調整して、アイドリングは概ね1100rpmに調整します。
Lowニードルで調整できる範囲はスロットル開度1/8程度まで。アイドリング時の燃料調整にのみ使用。
 スロットル開度が1/4まではパイロンジェットの番数によってガソリンの供給量がほとんど決まります。
四輪用サーキット等の高速サーキットを走行する場合、パイロンジェットを交換する必要があるかも。
スロットル開度の中間域は、メインジェットを交換することによって調整。
スロットル開度が全開域ではハイニードルの絞込み量によって調整。

メインジェット、パイロンジェットについて
 MJ60番だとHiニードルの戻し回転数にすごい敏感。MJ90〜100番は濃すぎ。
PJはちょっと濃い目の85番をチョイスした時が調子良かったそうです。で、PJを70番に下げても結果は同じ。なので、実用的なのはMJ70〜85くらい。PJはドライバーの好みかな?
 でも、MJ,PJかえると、これまでのHi/Lowニードルの戻し回転数のデータが全然当てはまらなくなるので、基本的にはMJ、PJは替えないほうが良いとのことです。

事前チェック項目
・YPVS等がスムーズに動くか?
・ノイズボックスは正しく装着されているか?
・アクセル全開時にキャブのバタフライも全開になっているか?
・点火プラグの汚れ、熱価は適正か?
・燃料フィルター、キャブ内のフィルターにゴミは詰まっていないか?
・チャンバから排気が漏れがないか?


参考に・・・
キャブの穴のあいている方のフタを開けると黒いゴムに金属の円盤が付いてるのがダイヤフラム。
これがガソリンで伸びきっている、と交換時期。
・Hiニードルが40分以下になる場合は、ダイヤフラムポンプを交換
・Hiニードルを2時間以上あけても直らない場合は、ダイヤフラムポンプを交換.ガソリンホ−スおよびガソリンフィルターの詰まり、ノイズボックスは正しく装着されているか。
・全開域でガソリンが足りなくなる場合、ニードルアームのスプリングを交換する必要があるかも。
・キャブ内のフイルタ−、ガソリンホースのフィルターは要チェック!!


キャブのセッティングの仕方

 キャブのセッティングは十分に暖気運転(40℃ぐらい)した後、レ−シングさせて標準セットの濃い方から徐々に薄くしていきます。あまりにも回転数の上昇が悪い時は少し絞り、パンパン来る時は濃い目に・・・。そしてコースを走行しながらキャブセットを変更していきます。まず立ちあがりでローを合わしてからハイを合わせるのが一般的なやり方。
 ちなみにレ−シングさせている時は煙が出ても、乗れば薄く出ますので注意!!
できるだけ、LOWは濃い目の良い所が見つかれば、どんなコ−スに行ってもあんまり変わりません。エンジンが止まりそうなところから「バン!」とアクセルを開けても力強く回転が上がればOK。
・人と同じセットにしても乗り方(アクセルの開け方)によって開度は変わります。
1  一番よく使う2、3、4速の立ち上がり、伸びでチェックします。
アクセルを少し踏んでいる低速のレスポンスが悪いときはLowニードルを絞る。直らないときは、逆の操作を行う。
 ほとんど全開の時はHIで調整。
濃すぎるともたつき、かぶりが出て、薄すぎると息つき、エンジンのトルク感がなくなります。
2 6速でのストレ−トエンドの伸びの為に(焼き付き防止)のためHIニ−ドルを微調整します。
3  毎回必ずプラグ、ピストンヘッドの焼けを確認しましょう。プラグ先端が真っ白でピストンヘッドが乾いていたらデトネーションが発生している可能性がありピストンやシリンダーヘッドの端部を溶かします。