Legend of Seed.

雪の国編


「雪の国編」予告  2005/07/14(木)


「雪の国編」予告
 雪の国・アイスランド。
 一年中雪に閉ざされた大地のなかに、氷に覆われた宮殿が今尚ある。
 かつて比類なき魔法力によって国に繁栄をもたらした、伝説の女王がいた。彼女の歌声は一帯に春をもたらし、それでいて雪や氷の美しさは保ったまま、すばらしく美しいクリスタル・パレスとクリスタル・ガーデンを創りあげた。
 決して溶けきることのない湖は、月の光を帯びて蒼く輝くと言う。その中央に燦然とそびえる宮殿は、又の名を「蒼月の宮」と言った。
 だが、今は。
 宮殿は氷に閉ざされ、草萌ゆる庭は荒れ果てて久しい。
 何故なら―――代々女王に受け継がれてきた魔法力は、何時の頃からか弱まり、そしてまた何時の頃か…女王の血は絶えた。
 彼女の魔法力に目をつけた時の権力者が奪ったとも、異界のモノに魅入られたとも言われるが、真実は定かでなく、歴史はなにものをも証明しない。
 魔法力による繁栄を失った国は急速に荒廃し、他国へ移る事も叶わなかった少数の人間が、細々と小さな村を作っている。

 だが、近年。
 静かに噂は広まっていた。
 水面を揺るがす、小さな波紋の様に。

 「蒼月の宮に歌声が響く」

 氷点下の世界となったクリスタル・パレス。美しくとも、生きるものを拒むその宮殿に、忽然と現れたという―――春色の歌姫。
 微かに芽吹いた緑に、国民は歓喜した。



 新たな出会いは、彼らを新たな地へと誘う。
 キラ・ヤマトと名乗った少年は、しかしまるで長い年月を経てきたかのような、深い眼差しを二人に向ける。
 たった一人、孤島に住んでいるのか。
 問い掛けを、彼は静かに否定する。
 「いなくなってしまったんです。…彼女が」
 
 何故探そうとしないんだ。
 更なる問い掛けに、悲しそうに海を見つめる紫の双眸は、ここに無い何かを、確かに見つめていた。

 「僕には…翼が無いんです」

 もし自分に空を羽ばたく翼があったなら。
 彼女の元へ違わず飛んで行ける、翼があったなら。

 白亜の翼―――世界の果てまでも目指せる、それを、僕等は。




 「雪の国編」coming soon.


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 キラ・ラクス・ミーアのおはなし。
 
Date: 2005/07/14(木) No.1


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