広大な砂の海。来る者は拒まないが、足を踏み入れて無事帰ることは難しい。点在するオアシスは、しかしそのほとんどが幻に過ぎない。乾いた旅人の欲望のままに、瑞々しい緑と泉を映し出すのは、水の壱滴も含まない、唯の砂。 厳しい環境故に、そこにはまた人の想像力が働く。容易に行けぬからこそ素晴らしき楽園があるのではないか―――夢を抱いた冒険者は数知れず。
唯一、現実のオアシス…その村の支配者は、皮肉に笑う。 「楽園なんてどこにもない。この砂漠にあるのは、流砂に砂塵…そうだな、あとは」 猛々しい傷跡に閉ざされているはずの隻眼が、まるで目配せのように見える。
「ありとあらゆる知識―――最高にくだらなくて、最低に魅力的だ…なぁ?」
砂上の楼閣などは無い。 在るのはただ、静けさと闇に囲まれた、堅甲な牢獄に似たもの。 砂と風と熱の嵐に守られた、古の地下神殿―――そこで彼らを待つものは。
封印された書物が紐解かれる時―――蘇る、巨大な力。 決して開いてはならぬもの―――開かれてしまった禁断。
煉獄がこの世に出現する。 紅蓮の炎は全てを舐め尽くし、小さな世界を灰燼に帰す。 戸惑う者達に、識者は不敵に笑う。 「無くなったのは書物だけさ。知識の全ては…ココにある」 そう言って彼が指し示したものは。
「砂漠編」coming soon.
++++++ チャンドラ、砂漠の虎ご一行のおはなし。
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Date: 2005/07/17(日)
No.1
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