世界には大きく分けて二つの海が存在する。 輪を描く大陸群の内側と外側。 誰が名づけたものか分かりやすく、内はイナーシー、外はアウザーシーと呼ばれている。 イナーシーは交易の為の航路があり、比較的人の手が入っている。大陸から離れるほど当然深くなるが、内海には小さな島々が無数にあり、それらの周囲はまた浅瀬となる。北に近いほど海水温は高く、珊瑚礁の美しい景観を望める島も多い。 一方のアウザーシーは、今だ人知の及ばぬ大海だ。比較的大きな、大陸に準ずる島が幾つか確認されており、細くはあるが航路もある。だがそれ以外は全くの自然である。 知らぬものは描き様がない。地図にも、海があるとしか記されず、ものによってはそこに未確認の巨大生物さえ描かれている。
イナーシーには、海に生きる者たちがいる。 彼らは大きな船を拠点として、時に貿易船や客船を襲い、金品を強奪するという。被害に遭った船を所有する国が取り締まりに出ようとも、彼らを捕まえることは今だ叶っていない。 この時代、船といえば帆船が主流である。風と波任せに近いところがあるが、彼らの船は微風にも関わらず自由自在に動けるのだという。 そしてまた、彼らは、誰彼構わず襲う事はないという。被害に遭ったものは皆、金満家ばかり。船を押さえても、無為な暴力を振るうこともない。 海辺に暮らす者たちの間では、彼らを義賊と呼ぶ者さえある。
海にそぐわぬものが落ちてきた。 「…ペガサス?」 一頭の有翼馬と、一人の少年。 海賊の頭領・トダカは、彼を拾った。 海に生きていればまずお目にかかることなどないであろう、珍しいもの。 見飽きた金貨や宝石などより、余程貴重だ。
心を閉ざした少年は、船上で時を過ごす。
「俺も大概、物好きなようだ」 微かに笑う頭領は、そう言って少年を撫でる。
「どうしたい?陸へ戻るか…このまま、海で暮らすか」
少年の決意は、海に嵐を呼ぶ。 津波と大渦は、人も船も―――心も想いも、何もかも飲み込むか。
「沈むわけがない、この船が。―――カレの怒りを買わない限りな」
「海には、有りえんものも住んでる。例えば…そう、神様とか」 神が顕現する時、海はその姿をも変えるのだ。
海賊編 coming soon.
+++++++ トダカ・シン…などなど。
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Date: 2005/07/19(火)
No.1
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