★運営委員会まとめ この作品は、伊平治の自伝をもとに、今から約40年前 に劇化されたものです。日清戦争直前、夢を求めて中国に 渡った実直な青年伊平治が、時代の大きな動きの中で娼婦 を平然と売買するように変わっていく姿を描いたものです。 今から百年ほど前の時代が描かれているという事もあり、 時代背景の違い等から会員の感想はさまざまでした。 「純朴な彼がどう変貌していったか、その過程の描き方が 見事でした」「奇想天外にみえながら、実にリアルで、し かも物語性に富んでいて身につまされる。近代日本の人間 像が鮮やかである。・・・従軍慰安婦の広がりと射程をも 感じた。このドラマは我々観客に向けられた鋭い刃である」 「てらそま昌紀さんの演技にぐんぐん入りました」と時代 を越え、伊平治に引き付けられた方も多かったようです。 |
その一方で、「人生の節節での彼の変身の理由が説得的で ない」「汚い着物、着方・・・やくざや娼婦はもう結構で す忠君愛国、日の丸もいやな感じ・・・」「日本人が日本 の国をちゃかしている」等の感想もあり、作品の意図、劇 団の思いが十分伝わらなかった面もありました。 初演から約40年を経て、時代の流れとともに、現在で は理解し難いことも多くなってきたのでしょうか。又、喜 劇的な面が強くなった分、作品の持つエネルギ−や時代の 大きなうねりが十分伝わらなかったのでしょう。 常任委員会は、3年前の公演を観て、年に一度くらいは 時代を正面から見据えた芝居も例会にとの思いから推薦作 品としました。賛否両論の中で「いろんなお芝居があって いろんな気持ちが味わえて、それでいいのだと思える芝居 でした」との感想に、常任委員会の意図が受けとめられと の思いを強くしています。 |
感想文 ◎今月は、丁度御当番に当たっていて、主演のてらそまさ んのセミナ−も拝聴し、素敵な方と思いましたが、舞台は お話されていた以上にすばらしく出来ていて、前半のまじ めな進行から、後半舞台への面白い展開。一昔前なら、「 エッ!?」と言うような、天皇、国歌、お札になった人の カリカチュア等、観ごたえのある舞台でした。又、役者さ ん達の熱演もピンピン伝わりました。同行した友人と、時 代が時代なら、顔が悪く身体が丈夫な私達、あの中の一人 になっていたかも・・・いい時代に生きていてよかったネ ・・・等と、やはりちょっと舞台にはまっていました。 やましろ 50代 ◎大勢のスタッフの方々の熱演が観客席にも伝わって来ま した。夢見て大陸へ渡った伊平治の人生。当時の軍の圧力 と言えばそれまでだが、上原陸軍中将の凛とした態度や声。 なつかしく昔を思い出しました。当時の女の悲しい運命、 でも舞台一様にくりひろげる娼婦達の個性。めずらしい廓 衣裳。女の私でさえ一緒に踊りたくなりました。 あやしいまでの艶よくム−ドが出ていました。 俳優座の皆様ありがとうございました。 桜の園 60代 ◎生まれた環境と時代の波に翻弄され、忠君愛国を金科玉 条として懸命に生きる伊平治。大きく時代を隔てて彼を眺 めると、彼の懸命さが何とも滑稽でその人柄に哀れと共感 を覚える、はずであった。しかしその予想は外れた。人生 の節々での彼の変身の理由が説得的でないのだ。幕が下り たとき伊平治像は空中分解してしまった。 脚本と演技の両方の責任であろうか。 アカンサス 60代 ◎人生は芝居だ。 あっぱれ村岡伊平治親分! 善玉のような悪玉、いや悪玉のような善玉か?純朴でまじ めなペテン師。(何 オウムの教祖さまのようでもある) この何だかワケが分からないけれど魅惑的な人物を、て らそま昌紀はよく演じていた。彼のノリがこちらにストレ −トに伝わって、とても面白かったけれど・・・。 それにしても何と悲惨な女性達、それが最後に悲惨にみえ てこないところがコワイ! ふぁんふぁん 50代 ◎とてもよく出来たスト−リ−でした。伊平治を語りなが ら、その背景もしっかり描いていました。彼が生きた時代 が良く判りました。純朴な彼がどう変貌していったか、そ の過程の描き方が見事でした。どんなことをしても悪びれ た所を見せない伊平冶のあの生きのよさはいったいどこか らくるのか・・・。彼は、事あるごとに正義を口にし、天 下国家の安泰のためには身も心も捧にゃならんと言って娘 達を集めてきては売春婦に仕立ててゆくあの様は、ほんと うにやりきれない女達の辛さがよく表現されていました。 「なにが心の夫ですか・・・」てらそまさんが伊平冶その ままに見えてきました。 白と黒の見境も善と悪の見境もつかなくなった伊平治の 心を支えていたものは日の丸の旗であり、それに込められ た大義名分であったのです。しかし、その二つとも地に落 ちる時が来る。日頃尊敬してやまない伊藤博文氏を迎えた 時の伊平治の心は頂点に達していたことでしょう。 伊平治はこことばかりに天下国家をまじえての苦労話を 語るが、伊藤氏の耳には達しない。そりばかりか、一言の ねぎらいの言葉もなく、これまた自分の得意とする演説の 一くだりをブッて、両手に花で去って行く。 伊平治の見る哀れなありさま。ここではじめて涙がこみ あげてきました。たとえ一粒の涙でも哀れな伊平治のため に・・・と思いました。 ほんとうにいいお芝居をありがとう! 松風 60代 ◎江戸が終わってたったの20年はからずも一市民に国家 意識・天皇崇拝が宿っていった流れがおそろしくもわかり ました。(帰宅後、中学の本なぞ、のぞいてみました。) 今の私に国家という意識はないつもりだが、目に見えな いところで縛られているかもしれないし、また、伊平治を 笑えない大義名分をかざしている自分はあります。 俳優座の皆様、熱演をありがとう!! よかったです 50代 ◎あまり有名な人も来ていなかったし、どのような内容か 知らずに会場へ行ったので、あまり期待はしていませんで した。 しかし一幕目からひきよせられ、二、三幕目で笑いもあり、 時間が過ぎるのをとても早く感じられました。 終わった時の拍手も惜しみなく送ることができました。 花束を用意していなかったことを少し後悔しました。 スリ−A 30代 |
◎今回にお芝居は、役者さん達が一生懸命に演じていたの は良かったのですが、芝居の内容がもうひとつ気乗りしな く、嫌な気持で観ていました。 楽しい時間をすごしたとは言えなかった。 40代 ◎俳優座というので、もう少しよいものと期待していたの に、がっかりでした。”まくあい”の中に主演のてらそま 昌紀が、「むずかしそう、暗そうと感じるかも・・・演じ る側としては、人間ここまで変われるんだと、楽しい役だ」 との事、俳優の自己満足に私共がつきあわされた感じで、 私は何も滑稽で楽しくありませんでした。汚い着物、着方、 私など美しいものを観るのは好きですが、やくざや娼婦は もう結構です。 「忠君愛国」「日の丸」も嫌な感じ、途中で帰りたいと思 いました。舞台も暗く、俳優は汗で一生懸命でしたが、あ んなのは二度とみたくないし、退会したい感じ、もう少し 良いものを取り上げないと会員は減ると思いました。よか った、悪かったのアンケ−トでも取ってみては・・・。 殆どの人は不満・・・ 聾学校 60代 ◎村岡伊平治伝は自伝にもとづくだけに、奇想天外にみえ ながら、実にリアルで、しかも物語性に富んでいて身につ まされる近代日本の人間像があざやかである。深刻な「外 地への進攻」が事業の形でサンチョ・パンザよろしくコミ ックに描かれ、ますます大真面目に「進攻」をくりかえし て伊藤博文の「儀式」に至り、村岡の人形が人形使いに気 づく。あの最後の場面は、全日本人の「無知の涙」なのだ ろうか。あれは自分のことだと自虐の思いに足のすくんだ 会員はどの位おられたであろうかと思った。「従軍慰安婦」 問題のひろがりと射程をも感じた。 このドラマはわれわえ観客に向けられた鋭い刃である。 イカロス 60代以上 ◎今度のお芝居は少々暗いものかとちょっぴり思いながら 見せて頂きました。時間がたつにつれとてもおもしろく思 いました。てらそま昌紀さんの演技にぐんぐん入りました。 出っぱなしのあれだけのセリフ、ほんとに感心しましたと 同時に先がとってもたのしみです。 心より拍手をお送りしたいと思っております。 若いと言うことのすばらしさはい−ですね。 南天 60代 ◎今の時代だったらおだやかでない事柄、職業とポストだ けで立派な人間と思い込んでいたコチコチ頭(われわれ庶 民は・・・)の時代に、かるうく斜めから光を当てたよう で面白うございました。いろいろな時代を日本は経てきた という思いがしました。 いろんなお芝居があって、いろんな気持ち味わえて、そ れでいいのだと思えるお芝居でした。 有り難うございます。 70代 ◎村岡伊平治伝をみて、腹が立ってしかたありませんでし た。日本人が日本の国をちゃかしている。女性を商売道具 としてしか考えていない事を軽妙なタッチで、ヒニクまじ りに、ブラックユ−モア的に表現しているつもりなのだろ うが、吐き気がするほど気分が悪くなった。 一場面から二場面への移りかが納得行きません。日本領 事館とのやりとりもなく、足抜けさせた女性を日本へ送り 返せるものかその事に何一つ疑問を感じず、交渉だけでな し得ると思っていた事自体がわからない。 三浦綾子氏の「母」(小林多喜二)を読んでも、身請け された女性タミの生き方は苦界に身を落としていても、そ の後の人生には一生懸命の姿が見られます。かわいそうな 女性を助けると誓った事が、かくもやすやすと裏返せるも のかと腹立たしく思いました。 世の中いやな事件が多すぎる今、楽しく夢が見られるお 芝居を期待しています。 ミッキ−ミニィマウス 50代 ◎「村岡伊平治伝」は全体的にはそれなりの手応えがあり ました。が、展開がやや強引で説得力に欠けている点が感 じられました。 まず、上原中尉。村岡に大きな影響を与える重要人物の わりに、描写が平板すぎました。短編推理小説の被害者の ようなペラペラの紙のような人物です。それに明治20年 (1887)の軍人が後の関東軍の石原参謀のような「日 満支合体論」を主張するのはリアリティ−に欠けています。 それに、「皇軍」って当時の軍人はまず使いませんよ。演 出の都合かもしれませんが、正確には「国軍」であるはず です。 それから、最後に伊藤博文が登場する必要性はあったの でしょうか。伊藤の出現により明治天皇の存在を示す目的 があったのかも知れませんが、それにしては登場が遅すぎ、 平板な人物となっていました。 20代 |