香川市民劇場例会感想文集

1999年2月例会 九プロダクション楽市楽座 枯れすすき


運営委員会まとめ

 香川市民劇場の99年度の幕開けは、野口雨情を描い

た九プロダクションの「枯れすすき」でした。豪華キャ

ストの競演による、日本人の心のふるさととも言える童

謡を数多く創っている雨情の物語ということで大きな期

待で迎えました。

 作品は、雨情の青春放浪記とも言うべきものでした。

雨情はつると出会って結婚し、経済的に困窮した中で「

枯れすすき」の詩ができます。人生の伴侶を得、そして、

どんなに貧乏しても、詩をつくって生きるのだというこ

とに目覚めて、自立することができたのだと思います。

 感想文は、「いつまでも深く心に残る作品でした」と

いうように共感し、感動したという内容のものが多く寄

せられました。「ひろや子供たちにとっては、よき父親

とはいえない」雨情だったと思われます。しかし、ぼっ

ちゃん育ちで、常識にもとらわれない無垢な雨情を、篠

田三郎が淡々と演じていました。それが、雨情の魅力を


うまく表し、共感を生む結果となったのではないでしょ

うか。

 また、きっぷの良いまち勇を演じた高田美和や、若く

てかわいい頃と年老いてなおかわいくなっつた梅太郎を

演じた日色ともゑに、賛辞が寄せられました。技量のあ

る役者どおしの掛け合いは、さすがと思わせるものがあ

ります。この作品は場面転換が多かったのですが、日色

ともゑの進行役が会場をわかせ、うまくつないでいまし

た。

 欲をいえば新藤兼人の映画的ともいえる手法が、雨情

の内面の変化を伝わりにくくしているようで、残念でも

ありました。

 篠田さん、高田さんは、風邪をおしての舞台となりま

した。その役者魂に感服するとともに、舞台での厳しさ

を感じさせられました。

 野口雨情の詩と同様に、何かもの悲しいけれども、な

つかしくて心温まる例会でした。     



感想文

◎昨年末頃から体調をくずし、楽しみにしておりました

お芝居にも行かれなく残念に思っておましたが、今度の

「枯れすすき」は、みすごすことないと充分体に気をつ

けて見せていただくことが出来、胸弾ませて参りました。

私たちの年代ではよく知っていることもありとっても感

動したしました。                 

 特に、日色ともゑさんの若さにはびっくりすると共に、

役者としての徹底ぶりに涙が出ました。篠田三郎さんも

かぜを引かれてお熱が出て、何も召し上がることも出来

ず点滴をなさり乍らの役者魂に頭が下がります。ありが

とうございました。     

            南天 70代(女性)



◎楽しみにしていた初めての参加でしたが、感動しまし

た。一日中の畑仕事の疲れがいっぺんに吹き飛んで舞台

にひきこまれました。地方でこんなすばらしい舞台が見

られることに感謝しています。そして雨情のすばらしい

歌の数々は今後も歌い継いでほしいものだと思います。

又、会員数が減っているとのことですが、丸亀のステ−

ジは是非とも残してほしいと願っています。     

          もしもし 60代(女性)



◎久しぶりに豪華なメンバ−によるお芝居に、終始興味

深く鑑賞できました。               

 ユ−モアあり、しんみりとした所ありで、役者さんの

身のこなし一つにしてもベテランの貫禄がみなぎって、

内容もさることながら今回は、役者さんの演技のうまさ

に感激いたしました。市内でこんなすてきなお芝居が見

られて本当に幸せです。 

          さくら会 50代(女性)

 

◎今日の舞台は、一月にふさわしいお芝居でした。  

 久しぶりの豪華なメンバ−のお顔の上、一流の演技、

熱演を観劇させていただき、一言「満足」の言葉に尽き

ます。 これからも楽しみにしております。有り難うご

ざいました。    カメリア 50代(女性)



◎出演者もさることながら、「枯れすすき」期待してい

ました。生活の苦労を知らぬ心優しい雨情は誰にでも優

しく、世間体にこだわらず思うままに生きてきたのです

ね。結婚して子供が産まれても、父として一家のことを

考えることもなく、好きな人と生活を共にする「考えれ

ば無責任この上もない生き方の中で」こそ、あのような

詩をつくり続けることが出来たのでしょうか。篠田さん、

高田さん、日色さん、その他の方の熱演で長時間、楽し

いひとときでした。思いつくままに。        

             70代以上(女性)

                

◎期待しておりました。そして期待以上におもしろく、

帰路も満足りた気分でした。

 何といっても日色ともゑさんのおもしろおかしいナレ

−ションが新鮮でよく利いていたと思います(老女役だ

ったので一層興を添えた)このような演技を見事にやっ

てのけるのはさすが大女優。心にくいほどの演技にもう

一度拍手。

パチ、パチ、パチ・・・。舞台ならではの味わいでした。

 時間についての希望ですが、昼間公演の観客は主婦が

多いので、出来るだけ早く始めていただけたらと思いま

す。遠方ですので、3時半までには終わるようにご配慮

願いたいのですが・・・。

          銀河鉄道 50代(女性)



◎一年前から期待と希望に、胸ふくらませていた「枯れ

すすき」がやっと来ました。篠田三郎、日色ともゑ、の

両人も私の大好きな役者の人たちです。

 期待に違わず日色ともゑのすばらしい演技力とユ−モ

ア、そして篠田三郎の心に泌み入る、人をひきつける素

朴ながらもすばらしい役者根性に、今更に引き込まれま

した。演出も良かったと思います。本当に短く感じられ

る三時間でした。感激とそこはかとなく漂う感傷に、余

韻を残しながらに終りました。

「シクラメン」のメンバ−は高齢のため、お手伝いも出

来なくて退団の話も出ていましたが、今日のお芝居で、

又元気になりました。2・3年前の有馬稲子、亡き杉村

春子、宇野重吉など、印象深いものでした。会費が高く

ても、いいお芝居を希望しています。

       シクラメン 70代以上(女性)



◎20年弱の間をおいて再会員になりました。最近の演

劇の幕間の使い方が大変よくなってきました。観客をひ

きこみ一体になれるような気がします。

 「枯れすすき」は(おじぎ)が実によく使われていて、

言葉の余韻になっていたと思います。日本人として嬉し

く又私もきれいに(おじぎ)をしたいと思っています。

         どしゃぶり 50代(女性)



◎「ばらばら」上演の際にマナ−が悪かったのは、この

私です。自分の楽しみばかり考え、他人の観劇の妨害に

なって大変申し訳ありませんでした。今後は自重します。

 さて、「枯れすすき」ですが、主として不運時代の野

口雨情にたいして過度の感情移入をするでもなく、かと

いって冷たく突き放して「客観的に」眺めるわけでもな

いことに感服いたしました。

 野口雨情は「枯れすすき」ではどこか不思議な人とし

て描写されている気がしました。彼は、一見「非常識」

な男です。しかし実際はそうではありません。雨情は神

坂一(作家)の作品に出てくる人物同様、それなりの「

尺度」を持っています。他の人もそうです。そして、人

によって「尺度」は異なります。雨情の場合、その「異

なり方」が大きすぎただけです。そして、「枯れすすき」

のヒュ−マンな笑いはそこから生じたのです。

 これからも良いお芝居をお願いします。

           ちきり 20代(男性)



◎よかった、よかったを連発して帰りました。泣けてし

かたがなかったという人も居ました。あのバイオリンや

大正琴の音色にはほんとうに泣きたくなるような響きが

ありました。大正という世情不安な状態を奏でているよ

うでもありました。歌声も透き通るようなよい声でした。

 「枯れすすき」という歌はあまりにもうら淋しくて、

私の好みではなかったのですが、これからはしみじみと

歌ってみたいと思いました。あのすすき野原を思い浮か

べながら・・・。あのシ−ンはとても印象的でした。

 篠田三郎さんが少し元気がなかったのでは・・・と、

そう言わればそのようにも見えましたが、たとえ汚れ役

を演じたとしても汚れてしまわないような清さが残る、

そういう彼の持ち味の方を私は買いたいと思います。日

色ともゑさんは元気でした。元気印のおばあちゃん役は

とてもお似合いでした。この芝居のもり立て役でもあっ

たと思います。高田美和さんも美しく新派のような重量

感のある演技でした。いつまでも深く心に残る作品でし

た。          松風 60代(女性)



◎久しぶりに「よかったネ、よかった」と友人と話が出

来たお芝居でした。素人として気になったことを書きま

す。場面が多すぎる、もっと一場面を長くしてほしい。

終焉の場はいらないと思います。知らない者がとは思い

ましたが、よかっただけにもう少し考えてほしいところ

を書きました。      ミッキ− 50代


◎泣いた。笑った。日色ともゑのコケティッシュな演技

に思わずペンをとって、この感動を伝えたくなりました。

野口雨情は、実に幸せな男だった。彼をとりまく3人の

女性あってこそ、心にしみる歌の数々が生まれたと言え

るでしょう。

 二人の子供を立派に育て、野口家を守る賢い女性「ひ

ろ」、母性愛のような大らかさで雨情を自由に遊ばせた

「まち勇」、若くしなやかな感性と勇気で彼を支えた「

つる」は、それぞれに魅力的で、ある意味では女性向け

の劇だったと言えるかもしれません。特に私は3人の女

性の中でも「まち勇」の気っぷの良さ、度胸に心底ホレ

てしまいました。それだけに、彼女のみじめな屈辱的な

後半生には心が締め付けられる思いがしました。

 最後に、しゃぼん玉、からす、夕焼けと雨情のメロデ

ィ−が流れあの浮世離れした「〜やんす」の雨情を思い

浮かべながら、彼の世界に浸ったことでした。

           三人娘 40代(女性)



◎雨情の物事にとらわれない風のようなさらさらとした

生き方、しかしこの世ではそぐわない魂の持ち主、その

純粋な人柄に引かれる女たちの女心、よくわかる気がし

て心打たれました。

 本当はできることなら、私もあのように生きてみたい

と思うのですが、そうはいかない世の中なんでやんす!

      カメリアコ−ラス 30代(男性)



◎向かいから、しふしふと、そのぬくもりがつたひくる

から、とかくのことはいわんほうがええ。

 率直な気持ちにひたるほうがええでやんす。

似つかわしい人たちが似つかわしい役を、起承転結、純

朴にこなして、雨情抄伝の余情を味わいもらうた。

 そして「花の咲かない枯れすすき」の終節までを、い

つともなくにくちずさむればそれでええでやんす。

 どらごえの抜けた音痴に越したことはなく、いやはや

ふさわしくあるかも。

          六つ松 70代 (男性)



◎見た限りの雨情像とは。

あっけらかんのお人好しちゅう感じ。あれじゃ暮らしの

営みなんぞは出来はしまい。なのに、おなごはんを三人

も取っ換えた事実は、駄目人間としての才覚は並以上の

もの。

 さて、篠田雨情。明治、大正、昭和と生きたわりには

容姿不変で押し通した。としを取ることを見せるのは、

そんなに面倒臭いことなのか。

うたづくりにはそれ相応のエネルギ−が要る。葛藤もあ

ろう。どれほどの苦渋をついやしたか、期待したのに演

じる前に葬り去られて興味全滅。

 帰り際の雑踏中「紙芝居を見ている錯覚に落ちた」の

つぶやきを耳にした。つまらない人間・雨情を抉りだす

泥臭い描写・厚みを加える演出がいまいちだった感はあ

る。       なの字 70代以上(男性)



◎この度「香川市民劇場」に新入会させて頂きまして、

初めての観劇「枯れすすき」を楽しませて頂きました。

会場へ参りますと、大勢の入場を待つ人々の明るい顔。

受付のお当番の方々のきびきびした整理の姿など、ああ

これが”市民劇場”という、皆の演劇鑑賞会だなあ!!

と実感致しました。

 お芝居は、テレビでお馴染みの篠田三郎さん、日色と

もゑさん、高田美和さん等、出演者全員の熱演と、舞台

の転換も早くて、第一第二幕とも集中して鑑賞させて頂

きました。

 日色ともゑさんの梅太郎と老婆の二役がとても面白く、

老婆の方はさすがベテランだと感心いたしました。とて

も楽しかったです。有り難うございました。次回が今か

ら楽しみに致しております。

        かたくり 70代以上(女性)



◎「枯れすすき」大変心待ちにしておりました。第一幕、

第二幕共に明治、大正そして昭和各時代をよく表してお

りました。やさしくかなでる楽器の音色「同じお前も枯

れすすき」。いやが上にもロマンでした。雨情の人生の

終焉はとてもさみしかった。いろいろ長い人生でしたね。

 やはりお芝居は実感が湧きました。幕間にでてくるお

ばあさん、とてもユ−モラスで楽しかった。よく出来ま

したね。     桜の園 70代以上(女性)



◎同じ職場の友人の誘いにて今回初めて参加させて頂き

ました。

 大正生まれの私は、子供の頃よりよく聞き共に口ずさ

んだ懐かしい唄「枯れすすき」の作者、野口雨情氏の生

涯を、日色ともゑ様のユ−モアたっぷりの演技又目まぐ

るしい程早くの舞台変わり、又すばらしい舞台、すっか

り魅了されてしまいました。そしてその内容により雨情

氏の人柄の良さ、こんな方が作られた唄「七つの子」「

赤い靴」等々、益々好きになりました。余生幾年か、7

7歳の老婆ですが、今は職場におります。退職しても尚

生ある限り楽しく思い出し、口ずさんで参ります。

 有り難うございました。

           梅 70代以上(女性)



◎舞台の最後で唄われたたくさんの童謡が、みいんな雨

情の作だったと知り胸にしみ通るような思いがしてきま

した。

 今まで何気なく明るく楽しく唄っていたのだが・・・。

雨情の歩いてきた人生初めて知り、もの悲しい感動を覚

えました。

 でもああ言ういい歌が生まれたわけで、みいんなに愛

唱されて幸せだったと言うべきでしょうか。

 つるとの結婚の折り女将まちの態度、昔のよき日本の

姿みた様でした。それだけに老いの身を病に伏している

とき、雨情が助けられる身分になつていて、こっちまで

ホッといたしました。一人の実在の人間の人生を知り、

心がにぎやかになりました。有り難うございました。又

楽しみにしております。  70代以上(女性)



◎今回の「枯れすすき」、出演者が篠田さん、高田さん、

日色さんと私の好きなスタ−揃いなので、とても楽しみ

に待ち、幕開きをドキドキしながら見ていました。

 雨情さんの昭和時代は知っていましたが、明治時代に

結婚し、二人の子供がいて最初の奥様と別れたことは全

く知りませんでした。それに雨情さんの育ちの良さとマ

イペ−ス型、大らかさがよく表現され、つるさんとの出

会いから人生のどん底に落ち、一粒の米もなく、ぎりぎ

りでも他人に頼らず、二人で立ち直るきっかけとなった

「枯れすすき」を生み出したこと雨情さんを通して、人

間のすばらしさ、やはり楽ばかりしていてはすばらしい

物は生まれない。人生のきびしさもよく解りました。

 又日色さんの再々登場のおばあさんが、とてもかわい

いお茶目なおばさん役で、芝居を盛り上げていて良かっ

たです。         椿 50代(女性)



◎野口雨情抄伝・枯れすすきは、詩人とは何であるかを

じつに具体的に表出して成功した作品であり演技ならぬ

演技をこなした篠田の好演ぶりが光った。日色はいかに

も達人ぶりを示して台本のシリ−アスさにたのしみを加

えた。第二次戦後の日本人は欲ぼけで何でも欲しがる傾

向にあるが、心の浄化を持続するには、何を捨てねばな

らぬかをこの芝居は教えた。得ることより捨てる勇気と

天衣無縫さを教えた。イカロス 60代(男性)