香川市民劇場例会感想文集

1999年3月例会 小さき神のつくりし子ら
運営委員会まとめ 

「あなたが私の力になれば私もあなたの力になれる」緊張

感に溢れた静寂のなかでサラのことばが舞台に浮かび、や

がて客席は心からの拍手にやさしく包まれてゆく−−−−

 3月例会、「小さき神のつくりし子ら」は、四国香川市

民劇場三作目の共同企画作品でした。共感と信頼が柱にな

った心と心の共同作業から生み出された作品へ、多くの感

想が寄せられました。

「サラは声をだせないぶん自分の持てるもの全部、体中を

使って話してくれ」「その人物になりきった指の先までの

表現のうまさに感心」という感想にみられるように、日本

では初めてろうの女優としてこの作品の舞台に立った大橋

さんの、見せかけでなく全身から溢れ出てくる表情の豊か

さと集中力への賛辞がまず目に付きます。

 これは、日本ではろうの女優で上演されたことがないか


らという理由だけでなく、この作品の魂を蘇らせようとす

る、演出家西川さんの深い思いの結晶でもあります。

 出会い、愛し合い、お互いに理解しようとしながらもい

らだち、悩み、大きな壁にぶつかっていくサラとジェ−ム

ズ「人間どうし誰でも通じる問題」「理解と同情との相違

をあらためて考えなおし」という感想のように、自分自身

のこととして共感された方が多くみられ、集中力に溢れた

舞台と同一化した客席の緊張感は、最近の例会では出色の

ものとなりました。

「悲しいお芝居はやめてください」「何も残らない素寒ぴ

んとなり」のような声もありましたが、「美しい絵より、

なにかを語りかけてくる絵が好き」と語ってくれた方のよ

うに、確かなメッセ−ジを語りかけてくるお芝居にも少し

でも耳をかた向け続けたいものです。



感想文

◎演劇に興味があって毎回観に来ていますが、今回の劇を

完成させるのは本当に大変だったと思います。テ−マがと

ても重いものなので、観ている方にとっても難しくて、普

段の生活の中でもある問題だから、深く考えさせられまし

た。役者の人、一人一人が手話を覚えるだけでも大変なの

に、その上、演技をつけるというのはさすがだなあと思い

ました。きっとこの劇を演ずるために何ヶ月間も練習をつ

んできたのだと思います。本当におつかれさまでした。そ

して、ありがとうございました。

             カメリア 10代女性



◎小さき神のつくりし子ら、とても感動しました。大橋さ

んの全身から溢れ出てくるもの、最初のシ−ンで思わず涙

がでました。途中少し物足りなさを感じました。やはり、

私たちは音中心で生きている健常者なのですね。でも、ク

ライマックスに近づくにつれ、どんどん盛り上がっていき

ました。

 今井さんはとても大変でしたね。手話と二人分の会話と、

ずっと出ずっぱりで、細い身体で大丈夫だろうかと心配し

ました。

 いろいろ示唆された作品でした。初めての参加でしたが、

これからもずっと演劇を応援していけたらと思っています。

         太陽がいっぱい 40代女性



◎小さき神のつくりし子ら・・・を観させていただきジェ

−ムズ・リ−ズ役の主人公にとても感心いたしました。長

いせりふ、相手役の言葉までもその人の言葉として表現す

る事の困難、とても大変な事だったと思います。一つの仕

事に専念することのむづかしさを感じました。まだ、健常

者と障害を持った者との理解と同情との相違をあらためて

考え直しました。私共もすぐ老齢社会の中でいつ人様のお

世話になるやらと思う今日この頃、人のためにどれだけの

手助けが自分に出来るか、もう一度考えていこうと思って

います。              60代女性



◎話の筋は少し難しいものであった。手話が言葉同様の伝

達手段となっていることを知った。NHK(教育)の手話ニ

ュ−スを時々見るが、表現方法がとても複雑に思える。そ

れを言葉同様に使うことにとても感心した。又、日本にも

口話教師が各ろう学校にもいるのかなとも思った。

 大橋(サラ)さんの手話の早さ表現力についていける人

は多くないのではと感じたりしたが、その演技には常に緊

張感を伴っていたようにも感じた次第です。

          MITI 女性60代以上



◎入場してすぐ席に着くと、前の席のお若いお二人が手話

でしきりにお話をしてました。指定解除になりどこかにい

かれましたが、いつもとはちがうお芝居だと思いました。

初めは一寸むつかしい、疲れるお芝居だな・・・と感じま

したが、だんだん内容がよくわかってきますと、これは人

間同志誰にでも通じる問題をはらんでいることに思われて

きました。お芝居を通していろんな人生を知ることもいい

事だと思いました。有り難うございました。

                  70代女性



◎小さき神のつくりし子らに参加させて頂きました。この

年になって初めてNHK教育放送的なグル−プに入れて頂き、

この次はどんなと楽しみにして居ります。この度も希望に

燃えて参加しましたが残念ながら手話がわかりません。手

話がわかれば興味を持ってもう少し楽しく過ごせたと思い

ますが、筋道が解りかねました。又この次が楽しみです。

                  70代女性



◎初めて手話の劇を観て感激いたしました。若い方だから

こそ出来るのだと思いました。その人物になりきった指の

先までの表現のうまさには、感心しました。また、声の工

夫にも劇の厚みを感じました。シンプルな舞台装置も手話

を浮き出してよかったと思います。したがって、人物も鮮

明でした。それよりも、この俳優さんたちの熱演の底を流

れる人間への愛がつよく肌に感じ、もう一度重ねて感激し

たことをのべさせていただきます。

             うらら会 70代以上



◎いつも思うのですが、座席解除のやり方を考えてほしい

です。アナウンスもないうちに他人の席にすわってでんと

動かない厚かましい人、空いている席への座り方にもマナ

−があるはずなのに守らない人。お芝居が始まらないうち

に気分をこわしてしまいます。幕間まで変わらないという

のではいけませんか。開演直前のバタバタした雰囲気も嫌

いです。          紫陽花 60代女性


◎芝居を見て数日たった今、どの様な芝居だったか思い出

すことが困難である。たった一つ覚えているのは観劇中非

常に退屈したということである。このことは男女二人の愛

の葛藤が男女の間の心の内部の問題である場合、よほど演

技力がすぐれていなければ、観客にはその内容がつたわら

ないということである。実際この芝居に場合助演者が出て

きた時には退屈がまぎらわされ、主演者二人になると退屈

−−−若しくは睡魔におそわれた。この様な芝居を今後も

見させられるのなら会員を退会しようかと思う。尚付け加

えておけば小生身障者に対しては何等の悪意を抱いている

者ではありません。      野菊の会 60代



◎悲しいお芝居は止めてください。明るくわかりやすく、

観ていて楽しくなるようなストレスの解消になるのが大好

き、そのためにわざわざ会に入ったのですから、よろしく

                     70代



◎とかくのうわさはたくさんききました。画期的・挑戦作

品は例会をひらくたびに自信のほどがふくらんでいくこと

でしょう。けっこうなことです。だから、そのたどりつき

までが、超のつくほどたいへんだったと想像して、本番の

それよりも、そちらのほうに目が向きます。どうでしょう。

阿修羅のごとき、どろんこ模様の長丁場・稽古場を劇化し

てみませんか。ドキュメントする要素は山ほどあり覗いて

みたいです。そして、私たちもあふあふ、いふいふのたう

ちしてみたいです。

 でもね、ほんとのところはサラ発信のすばやい手話と、

今井さんの直訳音声する間待ちと時間待ちの二重構造に目

線を奪われて、終わってみれば健聴者の交じる女ろう者の

お芝居初参加の実験台にたち会うたこちらの席は(そのこ

とのみに振り回されて、何も残らない素寒ぴんとなり)い

ささか疲れました。       六つ松 70代



◎喋れるひと・聞けるひとたちのなかに女ろう者がひとり

ほんもの役者を志し、その輪のなかに飛び込んだ。なみた

いていのお稽古ごとではすまされないことを百も承知で。

 どってん、ばったん荒々しい息遣いが飛び交うたことで

しょう。でも、きれいな花が咲いたではありませんか。

 これからさきの各地例会でますます「優の仕上げ」に近

づいていくことでしょう。

 それにしても、本劇の主人公今井さんの素早い直訳音声

化にはおどろいた。100%の出来映えである。しかも、

大橋サラへの「それは何ですか」の問い返しがない。問い

返しがないということは手話オ−ル理解ということになっ

て神業に近い。

 音声は言葉。言葉は台詞である。直訳とせりふ回しの比

率がどれくらいなのか。興味は浅くないのである。

 ずうっとまえのこと。

或るひとたちに入会をお誘いしたら「理屈っぽいお芝居を

観る会でしょう」と逃げられてしまった。『小さき神のつ

くるし子ら』も、決して単純なお芝居とはおもえない。数

多くのちらしには話題作・演劇界の野望を果たす云々とあ

る。

 いままで例会はたくさんの作品を披露してきた。中味は

雑多。わたしも出発点ゼロの「演劇いろは」から、回を重

ねていろんなことを勉強させてもらい「にほへ」ぐらいの

点位にきたかなと思っている。

 おかげさまである。       なの字 70代



◎これほど気の抜けないお芝居は初めての事でした。観て

いる私たちは手話がわからない。どうやって語りかけてく

れるのか考えていました。サラは声を出せないぶん自分の

持てるもの全部体中を使って話してくれました。それを支

えるジェ−ムズもあの長い長いセリフを感情をおさえ又、

ぶっつけるようにそして洗練されたジョ−クで何とかサラ

の心の入口を見つけようとする。わかっていながら人にた

よるのをこばみつづける事で自分を支えるサラ。一度甘え

たら自分を見失うのではないか。そんないじらしさを感じ

ました。ピッタリ息の合った場面に思わず涙がにじみ出ま

した。これは私だけでしょうか。人間とは。夫婦とは相手

とわかりあおうとすればするほど見えてこないもどかしさ

とのたたかいに、疲れ果てる事になる。どうせお芝居を楽

しむなら、悪人が居ていい人たちを苦しめて、めでたし、

めでたしで終わるものが多いが、後に残るものはない。私

は絵で言えば、美しいと言われるより絵の方から何かを語

りかけるものが好きだ。だから今回も、この先サラとジェ

−ムズの人生は・・・子供は・・・人それぞれの回答があ

る。奥の深い心に残る一日をお世話くださった方々にあり

がとう。劇団の方たちにもう一度拍手を。

               菜の花 60代女性