★運営委員会まとめ 十年前の九月例会で大変評判が良く、再演を希望する人 も初めて観る人も楽しみにしていたようでした。 さすが600ステ−ジを突破した「唐来参和」、益々磨き がかかった一人芝居にいつの間にか引き込まれていったの ではないかと思います。 大きな屏風の片隅から時代を思い出す様な古い角型マイ クを携えて現れた、和服のよく似合う小沢さん。江戸時代 の語りに深い味わいがあり、寄席の気分で小沢昭一の世界 に引き込まれていきました。 後半の芝居へ自然に引き込んでいく「前口上」は、その 語り口の素晴らしさとともに後半の芝居の入門編ともなっ ていました。 背景に歴史を物語る垂れ幕を読みたかったと言われる人 もありました。 |
江戸時代の洒落本・草紙「好色一代男」、上田秋成「雨 月物語」や読本・森羅万象の「田舎芝居」等があったが、 松平定信が禁止したが後に読本・滑稽本などによって風靡 された。平賀源内・参和・蜀山人と小沢さんが紹介された。 源内さんは土地の人、蜀山人(大田南畝)は幕臣で狂歌の 名人として江戸の人気を集めた奇人であった。参和と同じ 様に住みにくいこの世を、洒落、風刺でユ−モア化して、 自らも笑い、人も笑わせた。 苦界まで落とされた妻が、死にかけている夫を苦しみか ら救ってやろうと命を絶たせた、この思いは現世代にも通 じるものが感じられる。 最後に蜀山人の歌を。 「あまい親 可愛いと気ままさせ 老いてのちのいまは後 悔」。この江戸時代の歌も、現世代をも風刺した一句。 |
感想文 ◎永遠の美少年、小沢昭一に乾杯! 一時間40分の上演時間の半分近くが、芝居の前口上で あった。ところが、すべて芝居を観る上であらかじめ知っ ておきたい「吉原」に関する基礎知識。原作にないこの前 口上は小沢昭一氏が考えたと思うのだが、観る側にとって は親切な『すぐれもの』の前口上であった。演出もしゃれ ていて、よくぞ井上ひさしのモノロ−グ小説を芝居にした ものだ。おそらく作者の井上ひさし氏もまったく別の「唐 来参和」を発見したにちがいない。 おかしさの中に『安楽死』の問題がかくし味になってい て、観る者の心にずしんと落ちた。「雑談にっぽん色里誌 」の著者ならではの見事の一語に尽きる芝居を観せていた だいた。 永遠の美少年、小沢昭一に乾杯。 長月 60代男性 ◎感服。ただもう感服しました。たったひとりでつくる世 界。初めはまさに「寄席」の気分でしたが本題に入るとそ の芸の本質を見事に発揮して、観客を小沢昭一の世界にひ きこんでいく。このような芸があるとは、ただもう感服し ました。戯作の『本質』をつかんでいるからでしょうか? 早速、井上ひさしの「戯作者銘々伝」を買って、原作を 読んでみました。当然のことながら、そこには活字しかあ りません。それを見事に、たったひとりで舞台の空間に置 きかえてしまう技というのは、素晴らしいと思います。 もう一度別の演題で観たいと思います。 子組030 40代女性 ◎大きな屏風のかげから、笑顔の小沢昭一が見えた。 会場から大きな拍手で始まった「唐来参和」、しんしん と雪の降る中、老婆姿で終わる。一時間四十分。 観客を一人でひきつけるその芝居にプロのすごさを今更な がら感じました。唐来参和という人、またその時代の説明 など、知らなかった事柄を粘土材工のようにだんごをこね ながら、それが結構小道具のいろいろになる。本当に工夫 のあるお芝居に、大満足で帰ることが出来ました。 お世話ありがとうございました。 桜の園 50台女性 ◎小沢さんの所作の一つ一つで、紙粘土{?}が徳利やお ちょこ、はたまたタオルが酒びんに違和感なく見える様に 驚きこれが{芸}というものだんだとしみじみ感じ入りま した。舞台ではシンプルな背景の方が良いですね。かえっ て芸達者な役者さんによって、様々な風景、奥行きを感じ させてくれます。今回運良くいちばん前の席で観ることが 出来ました。残念なことにその辺りの席でも、イビキをか いて寝ている人がいました。 小沢さん、こりずにまた来てください。 里佳 30代女性 ◎「唐来参和」の例会に参加して以前の小沢昭一さんの舞 台を観劇したことがありました。おもわずその世界にひき まれていく話し語り。導入部で語り部が劇中人物へ、また 最後の劇中人物が語り部へかえる見事さ。落語の世界のよ うな、目の前に世界がひろがる素晴らしさを感じました。 小沢昭一さん、有難うございました。 ティ−タイム 40代 ◎ひとり芝居は初めてだったので楽しみにしていましたが、 期待を裏切らない満足感に安心しました。「唐来参和」が 人名だったとは・・・前知識なしだったのが、かえって新 鮮だったかなと思います。ラジオ番組が長く続いていると か。思い返せば、観客に男性が多くいたっけ。登場の際に お茶目な表情が心に残るお芝居でした。 もうすぐ誕生日 30代 |
◎大分前(2ヶ月位前か・・・)NHKのテレビの画面に、 黒いス−ツをきちんと着た小沢昭一が、「あちらは世界の 小沢、私は横丁の小沢でして」と言ってるのがうつり偶然 見ました。何かの対談でしたけど、ちょっとおかしみを感 じ、そしてとてもいい感じでした。今度、この人のお芝居 をみるのだと・・・という思いで目にしたことでした。た のしみを有難うございました。 70代女性 ◎2ヶ月に一回のこ時間、とても楽しみにしております。 今夜は夏の疲れが残り、きっと眠ってしまうだろうな-と 思い観劇しましたが、おっとドッコイ、最初から最後まで、 眠いどころかパチクリとした眼。さすが名優の小沢さん。 一時間四十分、よくぞ一人でしゃべり、演じ、笑わせ、時 にはジ−ンとこさせ、充分に大満足の夜でした。舞台はき っちりシ−ン毎に転回され、これはスバラシかった。特に、 ラストシ−ン感動した!美しかった!まさに、イヨッ小沢! カ−テンコ−ルでの観客へのサ−ヴィス。最後の最後まで 役者に徹していた。本当にお疲れ様でした。 長月 50代女性 ◎小沢昭一さんが唐来参和を始めるにあたってかんたんに 着替える時に、こっちを指さして「あいつ眠っている、よ し、起きろ!」て感じの身振りで鈴を出された時には、ド キッとしてとび起きた。 果樹100% 10台女性 ◎台風の中、今日は受け付け当番の日どうしても出かけな くてはと思っておりましたところ、台風も高松から離れて くれまして、ホットいたしましたところ、今度は皆様が来 てくださるかと、少々不安もありましたが、多くの皆様が 出かけてくださり、観劇をこんなに多くの人たちが楽しみ にしている方たちがいると感心いたしました。 「唐来参和」小沢昭一さんの一人芝居、さすが芸の力に驚 かされました。すばらしい演技力、すっかり舞台に私まで も引き込んで頂きました。 シルバ− 50代女性 ◎初めて観る一人芝居。期待に乙女(?)のように胸を膨 らませ待っていました。そして今日、本当に役者の芝居を、 舞台を観させてもらいました。満足です。でも、後ろ半分 の空席が悲しかったです。 さくら会 ◎これまでこのペ−ジへ寄稿したことがありませんでした が、長月の芝居見蔵さんの感想に触発されて、ついつい筆 をとりました。 見蔵さんは、「おかしさの中に『安楽死』の問題がかく し味になっていて観る者の心にずしんと落ちた」と述べら れています。私もまったく同感です。救いがないことが救 いであるような、寂しく静かな、しかも透明な美しさが心 に残っています。 苦界まで落とされた妻が、死にかけている夫が最後まで 持っていた思いのこもった櫛を見たとき、苦から救ってや ろうとして命を絶たせます。 この妻と同じ場所にいたのが、森鴎外作「高瀬舟」の兄 だと思います。ただ、この兄は遠島の罪を受けることで、 不条理ながら救われたようにも感じますが、この妻は罪か らも突き放されて、どうにも救いがありません。 雪の舞い散るなかで、ただひとりの孤独。心の中に染み 入る雪の冷たさのような美しさ、悲しさに心を打たれた最 高の舞台でした。 菜の花 40代 |