香川市民劇場例会感想文集

2003年3月例会 劇団民芸 アンネの日記

感想文

◎アンネの日記とアンネナプキン

アンネで思い出した。アンネナプキンという生理用

品があって、一世を風靡した人気商品であった。生

理を「アンネ」、その周期を「アンネの日」と呼ば

れるほどであった。現在は新製品に取って代わられ

死語となりつつある。

 この「アンネ」、実は「アンネの日記」からヒン

トをえてネ−ミングされたものなのだ。私が思い出

したことというのは実はこの事なのである。

 当時(1961年)アンネ社の首脳が新発売する

商品のネ−ミングをどうするか議論していた。その

時、社長の坂井泰子が販売課長の渡紀彦に「アンネ

の日記」を手渡したというのである。

 彼はそれを読み即座に「アンネナプキン」を提案

し社運を掛けることにしたというのである。アンネ

社の首脳陣の心の琴線にふれたものはなにか。それ

は若くしてこの世を去った13才4ヶ月のアンネが、

純粋に女の「印」だる生理を成人へのステップとし

て受けとめ、「不浄」や「汚れ」といった暗い意識

ではまったくなく澄み切った青空のように透きとお

った感情で見つめているその純粋な生理感に感動し

たことにあるのだという。

 アンネ社は、その後ライオンの子会社となり、1

991年ナプキンの製造を中止した。アンネのナプ

キンはなくなった。

 アンネナプキンの名前の復活を希望する。母親や

父親が、娘の初めての生理にアンネナプキンに添え

「アンネの日記」をプレゼントする。こんな素敵な

ことはないと私は思う。

             長月 70代女性



◎前略 市民劇場様

当方マイシアタ−の会員です。市民劇場の会員数は

ウチの2倍なのね!と思いつつ乗り入れさせていた

だきました。

「私を理解してくれない!」と母親にアタるアンネ

は長女と同じコト言うな〜っと思いました。あ〜な

せまい所でせいいっぱい生きたアンネは、強制収容

所で姉の後を追うように亡くなりました。連合軍が

来るまであと数日でした。アメリカのイラク攻撃が

始まって、今もアンネの家族のように死におびえな

がら息をつめて暮らしている人たちがいるんだと思

うと舞台の上の緊張した空気をひしひしと感じまし

た。ありがとうございます。

       マイシアタ−高松 40代女性



◎「アンネ日記」は時代が時代だけに、「政治的な

ニオイ」やら「古くさいヒュ−マニズム」が顔をの

ぞかせるのではないかと非常に不安でした。しかし、

舞台を観てホッとしました。なるほど、アンネの成

長物語ですか。ふむ、上手く読みかえていますね。

実にいい着想ですなあ。

 ところで、奈良岡朋子さんは脇役ながらもいい演

技を見せてくれました。「ちょっと嫌な感じのオバ

ハン」を演じる奈良岡さんを初めて拝見させていた

だき、ありがとうございます。他の人も人間なら誰

もが持ち合わせている「美と醜」を巧みに表現し、

それが作品を深いものにしてくれました。

 ただ、少し気にかかったのは照明が妙にまぶしか

ったことです。私の目が悪いのが原因かもしれませ

んが、観劇中何度も目をつぶらざるをえませんでし

た。

 それにしても、マルゴ−は「地味」でしたね。、

ま−、その−、仕方ないんですけど。

。            ちきり 30代男性



◎あまりにも有名な物語でスト−リ−は前から知っ

ておりましたが、さまざまな人物の心の葛藤が随所

に出ており、屋根裏だけの狭い空間であろう舞台を

大きくしていた。食糧難も知り、空襲も知っている

世代の私には身につまされるものがあった。

 最後の希は、せめてアンネに生きて欲しかった。

だから伊藤孝雄さんの最後の語りがあまりにも悲し

かった。涙が今も思い出しては止まらない。これは、

私の年のせいではないかと思います。これからも期

待して参りたいと・・・

             まどか 60代女性

◎アンネの日記は、本、映画で読み、見知っていま

したが、今日の劇場のアンネは心のうつろいを上手

に演じていました。

 よく知られているスト−リ−は演出がむずかしい

と思います。今、イラク戦争のまっただ中です。早

くおさまって欲しいものです。

        つみきフレンズ 60代女性



◎「アンネの日記」は狭い屋根裏部屋に閉じ込めら

れた人間のドラマであり、本来、イメ−ジ中心の悲

劇であるため、どのように劇化されるのかが興味を

そそったが、立体化した空間とそこに過剰気味の人

数の配置の中で、おどけと怒りと嫉妬など、うまく

とりまぜた演出であること、大俳優、中俳優をただ

の人間として取り扱い、自然体に終始したことは感

動を超越したアンサンブル主軸の感興を与えてむし

ろよかった。ただ擬音は感心せず、恐怖感をおこさ

せず、リアル感に乏しかったのは残念である。

        バ−コット 70代以上男性



◎今日の「アンネの日記」が初めての観劇でした。

 はじめは客観的にみていたのですが、どんどんス

ト−リ−の中に自分が入り込んでいくような感覚で

した。とても感動しました。ぜひまた観に行きたい

と思います。 ハロ−キティ−ズ 20代女性






◎今回、恩師のお誘いで初参加しました。座席も前

列から5番目と良い席に恵まれ、近所の方とサ−ク

ルをくみ、皆で感激しております。

 又、知人にもお知らせし誘いたいと思っておりま

す。

 ありがとうございました。

         アンネの日記 50代女性

◎今日のお芝居を後方の席で見ながら、なんて空席

が多いのかと気になりました。「アンネの日記」が

もう50年近くも前に出版され、涙なくして読むこ

とができなかった記憶があります。また映画化され

たものを大勢の人と観て感動に身の震える思いを抱

いたものでした。

 ところがどうでしょう、今飽食の時代と言われ文

化面ではTVが映像を垂れ流し、それをほとんど無

批判に受け入れている状態では、このような骨のあ

る考えさせられるお芝居は敬遠されるのでしょうか?

誠に残念です。

 ときあたかもイラクを攻撃している映像が毎日流

され、一般大衆に犠牲者が出ている今、今日上演さ

れた内容を、平和について、もう一度考え直す必要

があると痛感しました。

 半世紀前の感動を知っている者として、もっと多

くの若い人に演劇に興味を示し、主体性を持って物

事に対処してほしいと感じました。伊藤さん始め出

演者の熱演により、しばし声もなく時間が過ぎてゆ

きました。セットを単純化し場面転換を素早く行っ

たところも感心しました。今後会員の増加にご健闘

をお祈りしています。

          がんばろう 60代男性



◎イラク空爆下で「アンネの日記」を見る。

「アンネの日記」は映画化された時に見た。あのと

きの感動が甦るかと思いながら「アンネの日記」を

見たが感動は全く無かった。何故か、これは俳優の

演技力不足でなく、外的な要因だと思った。

 今、イラク空爆を進めているアメリカの中のユダ

ヤ人だと聞く。ナチ・ドイツに迫害されたユダヤ人

が今無数の「アンネ」を生み出しているのである。

芝居の中に政治を持ち込むのはよろしくないが、世

界はいつの日に「ユダヤ人」問題から開放されるの

だろうか?       Q 70代以上男性



◎「アンネの日記」を読んだのはもうずいぶん昔の

ことになりますが、劇を見せてもらいますと更にま

た印象を深くしました。薄暗い屋根裏部屋、実際は

不衛生だったと思いますが、そこに2年間隠れ住ん

でいたなんて、あの戦争下がいかに残酷なものであ

ったかということが想像されます。ファンダ−ン夫

人がもう限界だと叫んだとしても誰もとがめること

も出来なかったと思うし、食べ物のことで、フラン

ク夫人が半狂乱のように怒り出すというようなこと

もあったと思われます。それらのことをアンネはよ

くぞ書き残してくれていたと、今にして思えば貴重

な告白文になっていると思います。戦争ほど残酷な

ものはない。どんな名文を並べてもその実態を見れ

ば、戦争を正当化することは出来ないはずです。

 アンネが子供のような無邪気さから確実に大人に

なっていく過程は、どんな環境にあっても光に向か

って伸びていく何かの植物を思わせるようでした。

伊藤孝雄さんのフランクは地味で冷静で誰もが一目

置く人物としての演技も納得できました。見終わっ

ても何度も思い出してみる、よい作品でした。これ

からも民芸の皆さんの作品に期待します。

              松風 60代女性



◎私、松山から参りました越智友子ですが、松山か

ら行った甲斐があり想像通りの感動が伝わってきま

した。人間極限状態に置かれてもあれだけ前向きに

生きられることはとても学びました。

 この市民劇場の制度もとても感謝しています。こ

れからも頑張ってください。

 私はクリスチャンで聖イエス会という教団に属し

ておりますが、私たちの教団ではイスラエルを救う

ため活動しております。今度の公演アンネの日記は

どうしても見たいものでした。というのは私達の聖

歌隊がイスラエルに伝道に行った時、オット−フラ

ンクさんにお会いし、それから亡くなられるまで交

流を持ち色々アンネさんの行事を行いました。私達

の教団にはアンネのバラ教会という教会があり、そ

こから全国にアンネのバラというとても美しいバラ

が送られます。この様な事情でとても見たい公演で

した。どうもありがとうございました。

          ミチル 70代以上女性



◎独裁者ヒットラ−の一括のもと、無差別なユダヤ

狩りが容赦なく行われていたヨ−ロッパ。もしアン

ネが日記を書かなかったり、書いても人目に触れな

かったら、今のヨ−ロッパの平和は先送りされてい

たかもしれないし、国家間のわだかまりを解いたの

もこの日記力の賜物かも。

 そんなアンネを12人の俳優さんが様々なアンネ

になり、交錯したり、同体になったり、弾きあった

り、それぞれの役柄を演じている姿を目の当たりに

してその懸命さに私は目のうるみを止めることが出

来なかった。原作も名作なら演技も名作だった。

 両親役の伊藤孝雄さん、日色ともゑさん、ファン

ダ−ン夫人の大好きな奈良岡朋子さん、今度のよう

にいい新人を次々と育て、いい芝居を見せてくださ

い。

魂のある限り・・・・・。

          さおり 70代以上男性