香川市民劇場例会感想文集

2003年5月例会 頭痛肩こり樋口一葉

感想文

◎この様に美しく楽しい幽霊様にお会いしたい、お

話をしたい、と思わずにおられないほど幽霊様は動

きもセリフも素晴らしかったです。夫に話しました

ら是非私にもと言っていました。

 しかし、この世に未練が一杯ある私たちには幽霊

様が現れたとしても、お姿を見ることもお話をする

ことも叶わないでしょうね。

 恨みの元を訪ねて行けば世界中の人に行き当たる。

もう諦めましたとの幽霊様に、一葉は小説で世の中

に取り憑いでやると宣言する。幽霊より凄い人が明

治の時代にも居たのだと改めて日本女性の逞しさを

感じました。しかし、明治時代の人は、戸主などに

成ると一家を支え、養い、体面を保つなど大変なこ

とでしたね。また女性は、女大学に代表されるよう

に何事にも慎ましく、世の中の常識?に従わなけれ

ばならないなんて、あの時代に生まれなくてよかっ

たと思いました。でも今でも少なからずその様な考

え方があるのですよね。

童たちのコ−ラスには少々トウのたった童も見受け

られましたが、全体に盆の16日の歌が流れ楽しく、

また思い出がこぼれて心が無くなる?の歌の悲しさ、

寂しさ身に沁みました。出演の皆様の演技とともに

音楽の素晴らしさにも敬服いたしました。最後の幽

霊様の勢ぞろい、あの世もよい所かな!なんて考え

ましたが寂しさが迫ってきました。

             かつこ 60代女性



◎いつも香川市民劇場には、東京の演劇の匂いを感

じ、幸せを感じています。

 有森也実さん、大塚道子さん、新橋耐子さんの実

物が見られて最高でした。

 私は年齢が65歳で眼が悪く、座席がち列で後ろ

の方で、俳優の表情がよく見られませんでした。座

席に年齢を考慮していただけると有難いのですが。

11月の東京ヴォ−ドヴィルショ−も期待しており

ます。          長谷川 60代女性



◎20年ぶりに観劇しました。

 井上ひさしらしい、楽しく又さまざまな人生が語

られていて、大変良かったです。久しぶりに心が洗

われるようでした。

 又、ホ−ルの設備(音響など)が昔の市民会館に

比べずっと良かったです。これも楽しく観るために

は欠かせない要素だと思いました。

            ツキスミ 50代女性



◎「お芝居を鑑賞した」満足感いっぱいの例会でし

た。いつも個人会員のため、規程により座席はグル

−プ席の後。出演者の顔の表情などは、全然わから

ずでした。が、今回は空席待ちにより”眼の表情”

まで手に取る様に、おもしろさの中にも、幽霊であ

りながらあでやかな舞台にうっとり。本当に素晴ら

しい例会でした。お世話下さっている皆様に感謝。

              小川 50代女性私と「頭痛肩こり樋口一葉」

時期は定かでないが、20年程前に新宿の紀伊国屋

ホ−ルで「頭痛肩こり樋口一葉」を見た。

 この時初めて井上ひさし作品に出会った。樋口一

葉といえば、文学座の中心メンバ−が出演した映画

「にごりえ」に象徴されるように、暗くてうら淋し

いイメ−ジがある。事実、彼女の評伝や年譜を見て

も彼女の実生活はつらく淋しいものであったといえ

る。ところが「頭痛肩こり樋口一葉」は、唄あり幽

霊まで出てきて明るく、面白く楽しく描かれている。

 私は「こんな新劇があるのか、こんな演出もある

のか」と大きなカルチャ−・ショックをこの時受け

た。

 あの時の新鮮な驚きと感動を思い起こさせる今夜

の「頭痛肩こり樋口一葉」であった。

 ただ、すぐうしろの二人連れが最初から最後まで

ブツブツ話すものだから、気なって見終わったらす

っかり頭痛肩こり状態になってしまっていた。

            長月 70代以上女性




◎明治を生きた作家一葉の女性として拓いた道の険

しさが偲ばれる。百数年という年月の重さを実感さ

せられました。

 又生あるものは必ず死すという現実を、幽霊を通

してのユニ−クな対話に幽霊に対する今までのおど

おどしい思いが払拭され死を自然なものとして受け

とめられる様に思われました。

 又カ−テンコ−ルに勢揃いした幽霊達は和やかで

とても印象的でした。

 黄泉も又楽しきかなの観劇でした。

             友心会 60代女性



◎かなり以前のことですが、初めて「頭痛肩こり樋

口一葉」のポスタ−を見た時に「をを、素晴らしい

ジョ−クだ!」と感服して地元タウン誌に投稿した

ことがあります。まさか、井上ひさしの「文豪シリ

−ズ」の一つだったとは・・・。

「無知」というのはつくづく恐ろしいものと痛感し

ました。

 それにしても、井上ひさしさんはいい意味での「

言葉遊び」が上手い方ですねえ。テレビもやってく

んないかなあ、と思うこともありますけど「商売女

」とか「淫売」とかいう言葉は「放送禁止用語」な

のでしょうか?劇中では「明治」という時代的制約

のために用いざるをえなかっただけのはずなのに。

 役者さんの中では大塚道子さんが良かったと思い

ます。いかにも「明治の女」っぽい人物を好演して

いました。       ちきり 30代男性



◎星がきらめき、蛍が飛び交い笹提灯がゆれる、そ

ばの字幕は明治と番地。これが一葉の頭痛肩こりの

タイトルと何のつながりがあるのだろうか、と思っ

ているうちに「ぼんぼん盆の16日に」の幽霊賛歌

が流れ、わらべ達の踊りが通り過ぎる。そのうち、

私の頭より堅苦しい一葉の文句が何時の間にか消え、

心地よい気分になっていた・・・。

 例会の前日、55年前45円で手にした鑑賞本「

たけくらべ」を口読みして少しでも雰囲気に近づけ

たいと構えていたがこれは徒労、逆に頭痛肩こり薬

になろうとは思ってもみなかっただけに、その嬉し

さは、今も忘れることがない。

井上ひさしさんの作品に有難うございますと申し上

げたい。      さおり 70代以上男性



◎「頭痛肩こり樋口一葉」を、私はわが市民劇場第

201回鑑賞会でみた。こえは四演らしいが、「ま

くあい」253号に感想文をしるして、私はこうか

いている。「ちみつな台本なので、たしかめて聴き

たいし、見ることと聴くことを一致させるために、

小さな小屋でみたい」とし、経済性と芝居とが背反

していると難じている。このたびの公演は、まこと

に歌舞団めいて大がかりアンサンブルであり、15

年前の批評はあてはまらないと思ったし、私には、

全く別の芝居にさえ思われた。

 幽界と明界との自由な交流、夏子にしか見えない

花蛍。そこに閉息状態の現代日本への項門の一針、

そして井上ひさしの夏子の姿をかりた語り口。芝居

でしか表現できないものが諸所にみられた。現世に

いるわれわれは重く歩くしかないが、幽界の人たち

と友誼をむすべば足どりも軽いというものだ。

 なお、今回の公演で芝居もさることながら音楽が

格段によいと感じた。

         とおやま 70代以上男性