感想文
◎高き彼物・「清らか」か?
受付でもらったパンフに「高き彼物」の劇評が掲
載されていた。いずれも高名な方ばかり。曰く、「
さわやかで後味がいい喜劇」。「この作品を一言で
言って『清々しく澄んだ四角い青空』」。「清らか
なもの」云々。
たしかにこの芝居から私たち人間は「高い志を持
って生きることが大事だ」ということを改めて知っ
たことは間違いない。
しかし、「清らかさ」「澄んだ」話としては、主
人猪原先生の過去の事件?はーこの芝居の重要な柱
であるーあまりにもいただけない(清らかでない)。
「清らかさ」「さわやかさ」をいうのなら、もっと
適切な挿話で芝居を構成できる筈。私にはこの点が
どうしても納得できなかった。
長月 70代男性
◎ご無沙汰しております。先日、徳島市立文化セン
タ−にて「高き彼物」観せていただきました。どう
もありがとうございました。この公演は、とても楽
しみにしていたものでした。マキノノゾミさんの作
品は、これまでみたことがなかったもので・・・。
それとこのタイトル「高き彼物」って何だろうとず
っと気になっていました。ですが、第二幕の途中あ
たりまで、どうも主人公の猪原に共感できず、かな
り戸惑いました。彼の「discipline,discipline」
という口癖も何かうそっぽいし、教科書さえやって
いれば大学に合格できるというのも、あまりに非現
実的だし・・・。ところが、二幕の後半、彼が自分
の(ふれられたくない)過去を曝け出すあたりから
俄然おもしろくなってきました。曝け出すって勇気
がいることですよね。でもそういう猪原に、私も、
やっと共感できました。最後の最後で、きちんと観
客を引き込ませて納得させてくれる、それがマキノ
ノゾミさんなのかもしれませんね。 女性
◎「高き彼物」は舞台上の人物の求めた心の山頂で
あろうが、そして又、吉野の歌でもあろうが、この
芝居そのものが「高き彼物」であると帰りの途でく
り返してつぶやいた。高橋は至芸であるが、藤本や
歌川は舞台にある俳優というより日常の人物そのも
のに見えて、この人は今演技をしているのか、現実
の娘であり教師なのか、とわれとわが目を疑った位
である。何より脚本が今の町や村にありそうな話を
描いている。現に私の娘の友人はバイクのツーリン
グで命をおとしたし、また別の友人は相乗りで重傷
を負った。そのとき、誰がハンドルを握り、誰が肉
体と心を傷つけたか、そういう高校生と、元高校教
師の出会い。私も教師ですごしたので、高橋の「傷
」の実態には意見はあるが作者がねらう「人間」の
裸像は率直にうけとり、ごまかさない清冽さの連続
は現代への警鐘である。私は何度か落涙した。笑い
ながら慟哭。これはほとんどモ−ツアルトの世界。
勿論、細かくいえば注文はある。ミス・キャストに
も触れたい。しかし、それを記すと全体が狂うので、
ここでは抑制しよう。とくに印象深いのはセット。
奥の石垣、ひまわり、洗濯物、部屋の時計、一幕で
は午後二時からのリアル・タイム、二幕では故障し
て止まっている。アイロンがけでは湯気が立ち上が
る。努力の字の色紙、いずれも無駄がない。この部
屋と廊下、机、階段、過ぎ行く時間、誰もいない空
間。それこそ「高き彼物」であった。
バ−コット 70代以上男性
|
◎「高き彼物」は、東京で観ようと思って観れなか
ったお芝居で、高松で観れて最高です。歌川椎子さ
んは「OUT」など、数々の作品で拝見して大ファ
ンなのですが、今回の野村先生は、とにかく圧倒さ
れました。お名前は「ウタガワシイコ」とお読みす
るのですね。初めて気づきました。藤本喜久子さん
は、以前舞台で拝見した時、ボ−としていながら、
みんなの動きが止まった時ふと意外なことを言う役
をされていて、はまり役だと思っていたのですが、
今回は、知的でしっかりした女性の役が素敵で、新
たな面を発見しました。
そして何と言っても、高橋長英さん。終った時は、
いっぱい感想を書こうと思っていたのに、今は「か
っこいい」以外言葉がうまく出てきません。その他
にもたくさんのすばらしい役者さんたちに出会えた
お芝居でした。 ひばり 40代女性
◎先日「高き彼物」を市民劇場でゆっくりお芝居を
見て、久しぶりに心から感動することが出来て、帰
りは心ほくほくと満足して帰ってきました。役柄が
全員適役でよかったと思いました。
見る前はスト−リ−がわからなかったので、どん
な作品だろうかと一抹の不安がありましたけれど、
最後まで先生を退職した理由がわからず、なぜなぜ
止めたのだろうと気を引くところとおしまいに自分
が力を入れた生徒が立派な社会人になっているのを
見てよかった。 名無し
◎としとともに聴力がおちていると思い、こんなお
芝居もう来られないかなと淋しかったです。
とにかく
音が低いのか(と自分をなぐさめつつ)
とにかく
聞きとりにくかった。
とにかく
となりに人が大笑いしている
意味が理解できず。
とにかく
もっとよく聞こえるお芝居を
見せてほしい。 岩ちゃん 60代女性
◎見上げるような苔の石垣、裏口に涼風が吹きぬけ
る雑貨屋。座敷の端で扇風機が首を振り、何宗であ
ろうか仏壇はキチンと飾られている。ここで役者さ
ん達は、歌人吉野秀雄が「志す高き彼物」をどんな
形で観せるのか。私は最良席「お20」で脳の五官
を働かせ続けた。今回は事務局も惑わされていたの
か、ブル−パンフのテ−マは、見出しを含め全て「
高きかのもの」として流しており少々嫌気が漂う中、
そこは高橋長英さん演ずる猪原先生、小田島雄志劇
評家が言う、お金のためでなく本当に大事なもの即
ち「高き彼物」のために生きようとする道を、自悔
の念に満ちた熱弁で諭す姿に心を打たれ、気を取り
直した。「高きかのもの」は「清らかなもの」であ
る。15年間、心の事件として封印してきた手淫汚
職を恥じらい職を捨てたくだりは、正に作者のマキ
ノノゾミがどうしても「清らかなもの」としてとら
えたかった彼物に違いない。
さおり 70代以上男性
|