感想文
◎缶詰は作家の執筆を急がせるために出版社が本人
をホテルに閉じ込めることにしばしば使うことばで
あるが、これは経営者が難関を突破するための鳩首
会談であり、私には新鮮だった。
これは芸達者な文学座の人たちが経営者変じてシナ
リオ作りの缶詰となり、悲哀が笑いを呼ぶ芝居とな
った。それにしても「悲哀」は男の生きざまにあり、
女性にはない(女性は悲しみ一辺倒の形)という日
本の姿を私は考えました。これはいわゆる「新劇」
らしい演出の「笑いの部」であり、至芸という場面
も多かったが、現在の若者にはどう映るかを私は知
りたい。 バ−コット 70代男性
◎「缶詰」、良かったですねえ。何と言っても角野
卓造さんが。角野さんはTVドラマ等でよく脇役を
演じておられますが主役としてもパリッと光ってお
りましたね。
ことにあの眼!5列目から見ているとあまりにも
生き生きしていて圧倒されそうになりましたよ。観
劇中、鼻をほじっていてうっかり舞台上の角野さん
と眼が合いかけ、「コラ!マジメに芝居を見ろ!」
と怒られるのではないかと思いました。
それにしても、社長・専務・常務のパンパカトリ
オはサラリ−マンじゃなくてしゃべり漫才をやって
た方が幸せだったかもしれません。あんなに息の合
ったトリオはそうやたらといるもんじゃありません
よ。
あ−、それから「まくあい」に「困難、日露戦争
」とありましたが、私は「国難、日露戦争」とハガ
キに書いていたはずです。やはり字が汚かったので
しょうか?
次も大いに期待しております。
ちきり 30代男性
◎華のある役者さんというのは、観客を大切にする
役者さんだということが今回の「缶詰」の角野卓造
を見てよく分かった。暖房をしてあるとは言え、こ
の寒さの中、ランニングとトランクス一つで、がん
ばり、最後のお別れの挨拶の時も幕が降りきるまで
手を振って下さった・・・見る方にとっては、感謝
したいような役者さんである。作者の水谷龍二さん
は、去年、風間杜夫のひとり芝居三部作のカラオケ
マンで見た。サラリ−マンの悲哀を、この作品でも
面白く、しかも、じっくりと見せてくれている。
夢かも知れないが、もし、香川市民劇場で、風間
杜夫を見せていただけたら、すばらしいなあ!
菜の花 60代女性
◎はたして新劇か−社会性の欠如−
芝居の脚本(作品)は必ずその時代を投影するも
のだ。言ってみれば社会の鏡の役目をしているとい
える。それは、作家が意識するとしないにかかわら
ず紛れもなくその時代に生きて作品を生み出してい
るからだ。
こうした尺度で、今回の「缶詰」を見てみると、
まったくと言ってよいほど、時代の背景や社会性が
見えてこない。
製靴会社でなぜ引退勧告が出されたのか。経営が
行きづまったのか、だとすれば何故なのか、社内の
勢力争い等はそうした延長線上の問題なのではない
か等々。
私は何も会社の経営分析をしろとなど言っている
のではない。芝居を立体化させる範囲内でそうした
背景が語られないものかと言っているのである。で
ないと浅はかなものになってしまう。喜劇だからと
てこの観点がしっかりしていなければ駄目だと思う。
今回の「缶詰」は、俳優のうまさと演出の妙と竹
久夢二の話に支えられ、何とか芝居の格好がついた
と思っている。大変酷な言い方だが、新劇誕生の原
点を忘れぬ芝居づくりを私は望みたいと思う。
長月 70代男性
◎角野卓造さんにはセリフ即ち決まりきった言葉は
要らない。これが卓造さんの真骨頂だからである。
心配性に徹する橋田素賀子の「渡る世間・・・」
に対し今回の缶詰では正反対の開放型社長を演じ、
十人のキャストが息を狂わすことなく、ツボどころ
でアドリブをはめドンチャン騒ぎも結構芝居になる
ものだと感心した。布団の投げ合いもその一つ。舞
い上がる綿埃は見えなかったが、前列席でなくてよ
かったと休心しながら三人の仕草に微笑を通した。
わけの分からぬ団塊世代の経営陣に愛想をつかせ
る一方、この缶詰劇を引き立てたのは美人の女将役
の塩田朋子さん、所作、容姿、何れをとっても女将
として一級品だった。
喜劇は喜劇で終わらないのがこの喜劇。喜劇には
教訓がある。団塊世代の諸君!逆境に克て!
さおり 70代男性
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◎久しぶりに例会に参加し、楽しみました。
開幕前の場内のざわめきも、また幕が上がってか
ら一斉に拍手が起こるのも、やはりいいものだと思
いました。
例会作品の「缶詰」も面白くてよく笑わせてもら
いました。なぜあの三人が缶詰になっているのかは、
ケンケンガクガクの三人の会話?の中から少しずつ
わかって来る。しかし、社長が退陣に追い込まれた
原因がなんだったのか、そこがわかりにくかったの
ですが、底上げ靴の話がほんの一瞬出て来たので、
もしかしたら、そのことも一つの原因だったのかも
と思われたりしました。「底上げ靴」、そう云えば、
あれがいっときはやりましたね。
退陣を迫られている社長に同調して、ここまでつ
いて来たけれども、必ずしも運命共同体ではない二
人なんだ。ということもわかって来る。罵声が飛び
交い大立ち回りまでいくのだけれど、あとは仲よく、
三人そろって歌なんかうたって(これもよかったで
す)、この三人ならまた何かを生み出すだろうとい
う予感を感じました。角野さんは「息子ですこんに
ちは」以来ですね。あれも楽しい作品でした。
松風 60代女性
◎「缶詰」、とてもおもしろかったです。何か打開
策を、と思っているうちに、どんどん展開が悪い方
に転がっていくところは、前回の「その場しのぎの
男たち」にも通じるものだと思います。でも、サラ
リ−マンの悲哀ですよね。ありきたりな表現ですけ
れど。きっとあの三人も一生懸命に生きてきたんだ
と思います。もちろん結果的に方向性や方法は、誤
っていた部分もあるかもしれないけれど。仕事も失
い、家庭も失って、それで人生が終わってしまうの
は、あまりにも悲しい。だから、あの人たちにも誇
りを持って生きていってほしいと思いました。喜劇
であるはずのこの舞台の幕切れで、客席からすすり
泣く声が聞こえました。皆さん、そんな気持ちでこ
の舞台をみたのではないでしょうか。
公子 40代女性
◎文学座版社長シリ−ズだそうで中年男たちの絶妙
な掛け合いに時のたつのを忘れてしまいました。
たまたま社長になれた同期のサラリ−マン達の悲
哀を、余すところ無く映し出した話に思わずしんみ
りしてしましました。
社長派が巻き返しを図るのに、温泉宿に立てこも
って作戦を練るなんて、すばらしい設定ではないで
しょうか。それが映画の撮影に発展するとは脚本の
発想がなんと豊かなんでしょうか。
それにしても男性の血の気多いのには驚かされま
すね。あの布団の投げ合いの無邪気さと負けず嫌い
の真剣さにはお腹を抱えて笑いながら、ふと修学旅
行を思い出しました。
角野さんはじめ俳優さんが、あの動きの激しさの
中でも次の台詞が息切れもせず出てくるなんて、い
かに身体を鍛えておられるのかと感心しました。
幕間も無く、場面転換がすばやく継ぎ目が無いの
で実に楽しく、劇中の歌までサ−ビスしてもらって、
最後の場面などしんみりとするばかりでした。まこ
とに上質のドタバタを有り難うと感謝しながら帰途
についたものでした。
みえこ 60代女性
◎大の男が三人本気でふとんを振り回したたきあっ
て汗だくの演技に大爆笑。角野さんはギタ−や歌も
お上手で三人での歌も聞きほれました。茶めっ気の
ある表情仕草に本当に演劇を愛していらっしゃるの
だろうと思いました。 福寿草 50代女性
◎一言でいえば、「大変よかった」。
この作品は、三名の青年時代P・P・Mのグル−
プを結論にして、劇化されたように思えました。青
年時代の「七つの水仙」を歌った三人が、しだいに
社会のシステムの中で「缶詰」にされていく、にっ
ちもさっちもいかなくなり、その挙句のドタバタ。
この「缶詰」のもつ悲哀、そしてドタバタの中で
の喜劇、人間の喜怒哀楽が全て缶詰にされているよ
うにも思える。
それから言えば三つの「缶詰」かも・・・。
どしゃぶり 男性
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