香川市民劇場例会感想文集

2007年5月例会 青年劇場公演 菜の花のらぷそでぃ
感想文
◎身近すぎて無関心
 農業問題というのは毎日の生活で一番身近な筈
なのに、一番無関心であったことを改めて気づか
された。
 芝居は具体的な「せりふ」のやりとりで成り立
っているので、「どきっ」とさせられ通しの2時
間50分であった。
 曰く「日本人は年間一人4キロの添加物を食っ
ている」「農薬が新しい病気や自然界に異変をも
たらしている」「アメリカの輸出戦略が日本農業
を破壊に追い込んだ大もと」等など。しかし、こ
のようなことは農業問題だけに留まらない。まだ
記憶に新しい郵政民営化だって、市場開放、規制
緩和の名のもとに、結局アメリカ資本による保険
業界への参入なのだ。これまでの日本の簡易保険
は間違いなく縮小、廃止の方向に置かれた。理屈
はこれぐらいにして・・・。
 鉄人(青木)と元医者(後藤)の二人のしぶい
演技が舞台を引き締めていた。又、客演のキャサ
リン(アンシア)の熱演(実にうまい)が舞台を
盛り上げた。
 脚本もその時々の農業問題を取り入れながら、
八年間に六回も改定したという。
いつもながらの青年劇場のアンサンブルに乾杯。
           長月 70代以上男性

◎前略
こんにちは。今回、観客のマナ−が悪かったのが
残念です。上演中に携帯の着信音がしたり、ピカ
ピカ表示画面が光ったり・・・。どうにかならな
いものでしょうか?
 それはともかく、舞台自体は楽しめるものでし
た。観ながら、「どうして楽しいんだ!?」と思
ったら、構造が「寅さん」に似ているんですよね。
はい、私は「男はつらいよ」シリ−ズが好きです。
ついでに言うと「水戸黄門」も大好きです。内部
では様々な問題を抱えながらも庶民の幸せを満喫
している稲葉家=寅家。そこに現れる闖入者=柄
本明か笹野高史。スト−リ−を大きく揺さぶる人
物の本格的登場=キャサリン。キャサリンは寅さ
んとマンドンナを一人で演じていた訳です。で、
稲葉鉄人=前田吟、民子=おばあちゃん、大地=
吉岡秀隆、大河内平九郎=御前様。まあ、かなり
強引な「似た所探し」ですが。
 もう1つ悔やまれるのは農協職員・猪原桜子が
誰ともくっつかなかったことでしょうか。いやい
や、これは勝手な妄想でしたね。
            ちきり 30代男性

◎日本の農業に過去、現在、未来という難しいテ
−マが楽しいお芝居に仕立てられていました。
 菜の花による資源循環型社会づくりや農業再生、
地域起こし(「菜の花プロジェクト」と呼ばれて
います)にかねてから関心をもち、劇中で紹介さ
れた「菜の花サミット」が昨年、高松で開催され
たときにも、その裏方として関わった者として、
「我が意を得たり」というお芝居でした。
 また、お芝居は農業問題だけではなくて、「食
」や「食文化」ということを通して、人がどう生
きるのか、人と人がどう関わるのか、ということ
をも、おもしろく描いていました。現代っ子の高
校生がおばあちゃんにやさしい心遣いをするよう
になるところなんか、可愛かったですねえ。
 劇中でも何度も身勝手さを皮肉っぽく語られて
いた私たち消費者は、「食べ物なんかお金で買え
ばいい」と思いがち。
ともすると農業のあり方に対しても頭でっかちの
議論になりがちです。有機農業に取り組み、菜の
花を栽培して菜種をとることにも挑戦した私の友
人は「みんな自分が食べるだけの農作物を作って
みたら、農業の大変さと大切さが分かるんじゃな
いの?」と語っていましたが、ほんとうにその通
りなんだろうなあと、この一家の物語から感じま
した。
 それにしても、お国言葉の持つ力ってものすご
い。農業問題のちょっと硬い話も、佐賀弁で語ら
れると、抽象的な議論ではなく、その土地に根を
下ろして懸命に農業に取り組む人たちの肉声とし
て伝わってくるから不思議です。
 社会派ドキュメンタリ−とは全く違う形で、大
切な問題を考える機会を私たちに与えてくれる・
・・お芝居ってやっぱりいいですねえ。
          果樹100% 50代女性

◎「らぷそでぃ、菜の花代に500円」出口で呼
びかける青年劇場の若者に寄進した。「まくあい
」に家と食をテ−マに寄稿した演出家の松波喬介
の馳走アピ−ルと芝居の真面目さに心が動いた。
同調者は少なかった。
・さて芝居で一番に目をひいたのが稲葉鉄人の妻、
民子役の上甲まち子さん。介護ドラマで活躍する
樋口可南子ばりのモノ腰に私はもう初めから民子
のすべての所作から目をはなさなかった。
・農業は決して廃らしてはならないとの一念がこ
 の芝居の底流にあり、自活力の心の支えとなっ
 ている山下惣一さんの「身土不二」は非農家の
 私達にも通じる人生哲学の基本理念ではないか
 と直感。
・民子には理屈こそないが、問題処理はかくある
 べしと一番に心得ていたのではないか。
都度、もてなすお茶の出し方は、話をひき出すタ
イミングといい、勇気付ける思いやりといい、実
生活上学ぶべき所が多かった。
かくして菜の花役は民子也。
           さおり 70代以上男性