感想文
◎こんな家族があっていい
観終わって、一呼吸置いた。「これは家族の『寓
話』だなあ。」と思った。
まずイ−ゴリのような男はいるわけがない。こ
ぶつきの中年女(タ−ニャ)。しかもまったく稼
ぎはないようだ。おまけに一人娘(ジ−ナ)まで
家族にしようとする。彼女のおなかには赤ん坊が
いる。こんな家族の一員になるような阿呆な男は
まずいない。
でも芝居は実に面白かった。それぞれ別個の人
間が寄り集まって家族になっていくというのだか
ら。しかも事情をすべて分かった上でのことなの
だ。
芝居は、このプロセスが違和感なくごく自然に
展開している。血縁だけが家族の絆では決してな
い。こんな家族もあってもいいのだ。
今回の芝居で分からないことがあった。それは
芝居の基底にディケンズがいるということである。
私はディケンズといえば「クリスマス・キャロル
」「二都物語」ぐらいしか読んだことがない。
劇中で母ソフィアに二か所タ−ニャがディケン
ズを読んで聞かせるところがある。それは彼の初
期の作品(1838年、26歳)「ニコラス・ニ
クルビイ」(邦訳名「善神と魔神と」)である。
この作品は私学の営利主義的経営を批判した社会
改革の主張が述べられているものであって、この
ことと芝居「家族の写真」がどうつながるのか分
からない。
「クリスマス・キャロル」なら分かりそうである。
それは「クリスマス・キャロル」のテ−マが「こ
の世の中では、廣い愛の心を持ってお互いに楽し
く助け合って生きて行かなくてはならない」とい
うことであるからだ。
なぜ「ニコラス・ニクルビイ」なのか、原作者
のプトゥ−シキナさんや演出の鵜山さんにぜひ聞
いてみたいものだ。
長月 70代以上男性
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◎家族ってなんだろう、と考えさせられ、血のつ
ながりがすべてじゃなく、お互いを思いやりなが
らともに生きていくとき、家族になっていくんだ
・・・ということを伝えてくれる、あったかいお
芝居でした。
映画「ALWAYS3丁目の夕日」が大ヒット
したのも、貧しかったけれど、一生懸命生きてい
た昭和30年代の日本へのノスタルジ−もさるこ
とながら、あの映画の中で描かれた、血はつなが
っていないけれど、家族として生きていこうとす
る人たちの姿から、改めて家族と言うことについ
て考えさせられた人が多かったからかもしれませ
ん。
どんな人の中にもきっとある、人間としての暖
かさや素敵な部分・・・お芝居は、日常のあわた
だしい暮らしの中で、日頃忘れてしまいがちな、
そんな部分にもう一度私たちの目を向けさせてく
れます。お芝居を観て、いつも思うのは、「人間
ってやっぱり素晴らしい!人間を信じていいんだ
!」ということです。
もちろん、ほんわかとしたお芝居ばかりではあ
りませんが、人間の心の暗い闇を描くどんなに重
い芝居にも、そいう人間というものに向ける視線
の真摯さそのものに対して、私は、やっぱり人間
への希望を感じるのです。
そして、お芝居のもう一つの魅力は(というよ
りも香川市民劇場の魅力というべきかもしれませ
ん)が、たくさんの人たちと感動を共有している
という実感があること。映画館を出るとき、知ら
ない人たちと「いい映画でしたねえ」と声を掛け
合うことは滅多にありませんが、市民劇場の公演
の後は、誰かと目が合えば、自然に「いいお芝居
でしたねえ」と声を掛け合います。お芝居からも
らった人間への希望を、多くの人と共有している
と実感することで、さらに再確認している感じで
す。
今年も一年、すてきなお芝居をありがとうこざ
いました。来る年も、もっとたくさんの人たちと、
こんな思いを分かち合えるよう、市民劇場の仲間
を増やしたいですね!
果樹100% 50代女性
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